冠動静脈瘻
概要
冠動静脈瘻は、冠動脈と心腔または大静脈系との間に異常な交通(瘻孔)が形成される先天性または後天性の疾患である。多くは無症状だが、シャント量が多い場合には心不全や虚血症状を呈することがある。心臓カテーテル検査や画像診断で確定される。
要点
- 冠動脈と心腔・静脈系の異常交通によるシャント病態
- 無症状例が多いが、シャント量増大で心不全や虚血を来す
- 診断は画像検査、治療は経過観察または塞栓術・手術
病態・原因
冠動静脈瘻は、冠動脈から心房・心室・肺動脈・上大静脈などへの異常な短絡路が生じる疾患で、多くは先天性だが、外傷や手術、感染後などの後天性もある。シャント量が多い場合には心臓への容量負荷や虚血を引き起こす。
主症状・身体所見
多くは無症状で経過するが、シャント量が増大すると労作時息切れ、心不全症状、心雑音、狭心症状などを呈することがある。連続性雑音が聴取される場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 心エコー | シャント流の可視化、拡張した冠動脈 | ドプラで異常血流を評価 |
| 冠動脈造影 | 異常交通の直接描出 | 診断のゴールドスタンダード |
| CT/MRI | 冠動静脈瘻の走行・解剖学的評価 | 非侵襲的に詳細把握可能 |
冠動脈造影が診断の決め手となり、瘻孔の走行やシャント量を正確に評価できる。CTやMRIでも詳細な解剖学的情報が得られる。心エコーは初期スクリーニングや経過観察に有用。
治療
- 第一選択:無症状・少量シャントは経過観察、症状や大量シャント例はカテーテル塞栓術または外科的閉鎖
- 補助療法:心不全症状があれば利尿薬やβ遮断薬など対症療法
- 注意点:感染性心内膜炎予防、治療適応の慎重な判断が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 心房中隔欠損症 | 心房間の短絡、II音固定性分裂 | 心エコーで欠損孔を確認 |
| 動脈管開存症 | 大動脈-肺動脈間の連続性雑音 | カラーエコーで短絡描出 |
| 肺動静脈瘻 | 肺動脈と肺静脈間のシャント | 造影CTで異常血管を確認 |
補足事項
まれな疾患だが、成人例では無症状のまま偶発的に発見されることも多い。感染性心内膜炎のリスクがあるため、無症状でも経過観察が重要。