全身性炎症反応症候群
概要
全身性炎症反応症候群(SIRS)は、感染・非感染を問わず全身の炎症反応が過剰に活性化した状態を指す。発熱、頻脈、頻呼吸、白血球数異常など臨床的な基準で診断される。敗血症や重症疾患の早期発見・重症度評価に重要な概念である。
要点
- SIRSは感染・非感染性の多様な原因で発生する
- 臨床的基準(体温・脈拍・呼吸数・白血球数)で診断
- 敗血症や多臓器不全の前駆状態として重要
病態・原因
全身性炎症反応症候群は、感染症(細菌・ウイルス・真菌など)や外傷、熱傷、膵炎、虚血再灌流障害など多様な病態で誘発される。サイトカインや炎症メディエーターが過剰に放出され、全身の臓器障害や血管透過性亢進を引き起こす。
主症状・身体所見
発熱または低体温、頻脈、頻呼吸、白血球増多または減少が主な所見である。重症例では意識障害、低血圧、多臓器不全が進行することもある。症状は原因疾患によって多彩となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 白血球増多/減少、CRP上昇 | 感染・炎症の有無や重症度評価に有用 |
| バイタル測定 | 発熱/低体温、頻脈、頻呼吸 | SIRS診断基準の判定に必須 |
| 血液ガス分析 | 呼吸性アルカローシスなど | 呼吸数増加の評価 |
SIRSの診断は、体温>38℃または<36℃、脈拍>90/分、呼吸数>20/分またはPaCO₂<32mmHg、白血球>12000/μLまたは<4000/μLあるいは未熟好中球>10%のうち2項目以上を満たすことで行う。画像検査は原因疾患の検索に用いる。
治療
- 第一選択:原因疾患の治療(抗菌薬投与、外科的処置など)
- 補助療法:輸液、酸素投与、循環管理、臓器サポート
- 注意点:早期発見と多臓器不全予防、ショック進展時の迅速対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 敗血症 | 感染症の証明が必須 | 血液培養陽性や感染巣の証明 |
| 多臓器障害 | 臓器機能障害が明確 | 肝・腎・呼吸・循環機能障害の証拠 |
補足事項
SIRSは診断基準としては単独では重症度や予後を規定しないが、敗血症や重症患者の早期警告サインとして臨床的意義が高い。近年ではqSOFAやSOFAスコアなど新たな指標も用いられている。