側頭骨骨折

概要

側頭骨骨折は頭部外傷により側頭骨に生じる骨折で、頭蓋底骨折の一型である。中耳・内耳構造を巻き込むことが多く、難聴や顔面神経麻痺、髄液漏など多彩な合併症を生じる。交通事故や転倒などの高エネルギー外傷が主な原因となる。

要点

  • 耳漏や髄液漏、顔面神経麻痺を高頻度に伴う
  • 難聴やめまい、耳鳴りなど聴覚・平衡障害が出現しやすい
  • 早期診断と合併症対策が予後改善に重要

病態・原因

側頭骨骨折は頭部への強い外力により発生し、骨折線は縦走型と横走型に分けられる。骨折部が中耳や内耳、顔面神経管を巻き込むことで多彩な神経・感覚障害が発生する。主なリスク因子は交通事故、高所転落、暴行などの高エネルギー外傷である。

主症状・身体所見

耳漏(髄液耳漏含む)、外耳道出血、難聴(伝音・感音)、耳鳴、めまい、顔面神経麻痺が典型的である。Battle徴候(乳突部皮下出血)や鼓膜穿孔も認められることがある。

検査・診断

検査所見補足
頭部CT骨折線・骨片転位、側頭骨内構造の損傷骨条件での撮影が有用
聴力検査伝音/感音難聴の評価受傷直後から施行可能
髄液漏検査β2-トランスフェリン陽性髄液耳漏・鼻漏の鑑別

CTによる骨折線の同定が診断の中心であり、骨折の走行や内耳・中耳損傷、髄液漏の有無を評価する。聴力検査や顔面神経機能評価も重要。髄液漏が疑われる場合はβ2-トランスフェリン検査が特異的。

治療

  • 第一選択:保存的治療(安静、頭部挙上、感染予防)
  • 補助療法:抗菌薬投与(髄液漏時)、ステロイド(顔面神経麻痺時)
  • 注意点:髄液漏持続や重度顔面神経麻痺では外科的治療を考慮

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
鼻骨骨折鼻出血・変形が主、聴覚障害なし頭部CTで骨折部位が異なる
上顎骨折歯列不整・咬合異常、顔面腫脹CTで骨折範囲・部位が異なる
脳挫傷意識障害や神経症状が主体CTで脳実質の損傷像を認める

補足事項

小児では側頭骨の骨構造が未発達なため骨折線が不明瞭なことがある。髄液漏は髄膜炎リスクが高く、早期の感染対策が重要。顔面神経麻痺の予後は発症時の重症度と早期治療介入に依存する。

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