代謝性アシドーシス
概要
代謝性アシドーシスは、血中の酸が増加または塩基が減少することでpHが低下する病態である。主に腎不全や糖尿病ケトアシドーシス、乳酸アシドーシスなどが原因となる。補償的に呼吸性アルカローシスが生じることが多い。
要点
- 血中pH低下と重炭酸イオン(HCO₃⁻)の減少が特徴
- 原因疾患の鑑別が重要(腎不全、ケトアシドーシス、乳酸アシドーシスなど)
- 呼吸性代償(過換気によるPaCO₂低下)がみられる
病態・原因
代謝性アシドーシスは、腎臓からの酸排泄障害や重炭酸イオンの喪失、あるいは体内での酸産生亢進によって発症する。代表的な原因は慢性腎不全、糖尿病ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、下痢による重炭酸喪失などが挙げられる。
主症状・身体所見
呼吸数増加(Kussmaul呼吸)、意識障害、悪心・嘔吐、脱水、循環不全などがみられる。重症例ではショックや昏睡に至ることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液ガス分析 | pH低下、HCO₃⁻低下、PaCO₂低下 | 代償性過換気の存在確認 |
| 血清電解質 | AG(アニオンギャップ)変化 | AG増加型/非増加型鑑別 |
| 血糖・ケトン体 | 高値(ケトアシドーシス時) | 原因疾患の特定 |
| 乳酸値 | 高値(乳酸アシドーシス時) | 組織低灌流・敗血症等 |
診断は血液ガス分析でpH<7.35かつHCO₃⁻低下を確認し、アニオンギャップの有無で原因検索を行う。AG増加型はケトアシドーシスや乳酸アシドーシス、AG正常型は下痢や尿細管性アシドーシスなどが多い。
治療
- 第一選択:原因疾患の治療(例:インスリン投与、循環改善、腎代替療法)
- 補助療法:重症例では重炭酸ナトリウム投与を考慮
- 注意点:過剰なアルカリ投与は逆効果となる場合がある
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 呼吸性アシドーシス | PaCO₂上昇、HCO₃⁻上昇 | 呼吸障害・換気低下が原因 |
| 代謝性アルカローシス | pH上昇、HCO₃⁻上昇 | 嘔吐や利尿薬使用歴など |
| 乳酸アシドーシス | 乳酸高値、ショック・低酸素血症伴う | 乳酸値測定で明確に区別可能 |
補足事項
アニオンギャップの評価は原因鑑別に極めて有用である。慢性腎不全や薬剤性、敗血症など多様な背景を持つため、全身状態を総合的に評価する必要がある。