尿細管性アシドーシス
概要
尿細管性アシドーシスは、腎尿細管における酸排泄障害により、血中にアシドーシス(代謝性アシドーシス)が生じる疾患群。主に遠位尿細管型(1型)、近位尿細管型(2型)、4型(低アルドステロン型)などに分類される。しばしば低カリウム血症や骨障害を合併する。
要点
- 腎尿細管の酸排泄障害による非アニオンギャップ性代謝性アシドーシス
- 低カリウム血症や骨軟化症を合併しやすい
- 原因・型ごとに治療や予後が異なる
病態・原因
尿細管性アシドーシスは、腎臓の尿細管が酸(H+)の排泄や重炭酸イオン(HCO₃⁻)の再吸収に障害をきたすことで発症する。先天性異常、自己免疫疾患、薬剤性、または腎疾患の続発として発症することがある。1型は遠位尿細管のH+分泌障害、2型は近位尿細管のHCO₃⁻再吸収障害、4型はアルドステロン作用低下が主因となる。
主症状・身体所見
成長障害、筋力低下、多尿、嘔吐、脱水、骨痛や骨軟化症などがみられる。慢性化すると腎結石や骨変化が進行する。重症例では心電図異常や意識障害も生じうる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液ガス分析 | 代謝性アシドーシス(pH低下、HCO₃⁻低下) | アニオンギャップ正常 |
| 血清電解質 | 低カリウム血症、正常クロール血症 | 4型では高カリウム血症も |
| 尿pH | 1型で6.0以上と高値、2型では可変 | 酸負荷試験で判別 |
| 尿中アンモニウム | 低値(尿中NH₄⁺排泄低下) | 酸排泄障害の指標 |
診断は、非アニオンギャップ性代謝性アシドーシスの存在と、尿細管障害型(1型・2型・4型)の鑑別に尿pHや酸負荷試験、尿中アンモニウム排泄量などを用いる。腎結石や骨X線異常も補助診断となる。
治療
- 第一選択:アルカリ補充(重炭酸ナトリウム、クエン酸カリウム)
- 補助療法:低カリウム血症にはカリウム製剤、ビタミンD補充、食事指導
- 注意点:腎結石・骨障害の管理、原因疾患の治療、過剰なアルカリ投与に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 代謝性アシドーシス | アニオンギャップ増加型(乳酸アシドーシスなど) | 血清AG増加、尿pHは低値 |
| Fanconi症候群 | 汎尿細管障害(糖尿・アミノ酸尿など) | 近位尿細管障害による多彩な尿異常 |
| Addison病 | 低アルドステロン症状、色素沈着 | 高カリウム血症、ACTH高値 |
補足事項
小児では成長障害が主訴となることが多く、早期発見と治療が重要である。薬剤性の場合は原因薬剤の中止も考慮する。慢性化で腎機能障害をきたすことがあるため、定期的なフォローが必要。