不育症(習慣流産)
概要
不育症(習慣流産)は、妊娠が成立しても流産や死産などが繰り返され、出生に至らない状態を指す。2回以上の連続した流産・死産を経験する場合に診断される。原因は多岐にわたり、内分泌異常、免疫異常、子宮形態異常、凝固異常などが関与する。
要点
- 2回以上の連続流産・死産で診断
- 原因は内分泌・免疫・形態・凝固異常など多様
- 治療には原因ごとの個別対応が必要
病態・原因
不育症の発症には、抗リン脂質抗体症候群などの免疫異常、黄体機能不全や甲状腺機能異常などの内分泌異常、子宮奇形・中隔子宮などの形態異常、血液凝固異常などが関与する。加齢や染色体異常もリスク因子となる。
主症状・身体所見
主な症状は、妊娠成立後の流産や死産の繰り返しである。身体所見は乏しいが、子宮形態異常や内分泌疾患の徴候がみられる場合もある。問診で流産歴や既往歴の聴取が重要となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 染色体検査 | 染色体構造異常(転座など)の有無 | 夫婦双方に実施 |
| 抗リン脂質抗体検査 | 抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント | 2回以上陽性で診断参考 |
| 子宮形態検査(MRI,超音波) | 子宮中隔や奇形の有無 | 形態異常の評価に有用 |
| ホルモン検査 | 甲状腺・プロラクチン・黄体機能異常の有無 | 内分泌異常の検索 |
診断は2回以上の連続流産・死産の既往の確認が基本となる。原因検索として染色体検査、自己抗体測定、子宮形態評価、ホルモン検査などを組み合わせて実施する。
治療
- 第一選択:原因に応じた治療(例:抗リン脂質抗体症候群にはアスピリン・ヘパリン、内分泌異常にはホルモン補充)
- 補助療法:心理的サポート、生活指導、妊娠管理強化
- 注意点:原因不明例も多く、再発予防や経過観察が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 切迫流産 | 出血・腹痛が主、妊娠継続の可能性 | 超音波で胎児心拍確認、流産未成立 |
| 稽留流産 | 胎児心拍消失・無症状も多い | 超音波で胎児心拍消失・胎嚢残存 |
| 異所性妊娠 | 下腹部痛・不正出血・ショック症状 | 超音波で子宮外妊娠所見、hCG値の異常上昇 |
補足事項
不育症は原因が特定できない場合も多く、反復流産例では精神的ケアも重要となる。最新のガイドラインでは、反復流産に対する包括的な検査と個別化治療が推奨されている。