下垂体腺腫
概要
下垂体腺腫は下垂体前葉に発生する良性腫瘍で、ホルモン過剰分泌や圧迫症状を呈する。機能性腺腫と非機能性腺腫に分類され、症状や治療方針が異なる。視野障害や内分泌異常が主な臨床的特徴となる。
要点
- 下垂体前葉由来の良性腫瘍である
- ホルモン過剰分泌型と非機能型が存在する
- 視野障害や内分泌異常が重要な症状となる
病態・原因
下垂体腺腫は下垂体前葉細胞の増殖により発生し、原因は不明だが遺伝子異常が関与することもある。腫瘍が大きくなると周囲組織への圧迫やホルモン分泌異常を引き起こす。多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)との関連も知られる。
主症状・身体所見
機能性腺腫ではプロラクチン、成長ホルモン、ACTHなどの過剰分泌症状が出現する。非機能性腺腫では頭痛や視野障害(特に両耳側半盲)がみられる。巨大腺腫では下垂体機能低下症の症状も出現する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部MRI | 下垂体部腫瘤、鞍上進展、圧迫像 | 腫瘍の大きさ・位置評価に有用 |
| ホルモン検査 | 各種下垂体ホルモンの過剰または低下 | 分泌型の同定に必須 |
| 視野検査 | 両耳側半盲などの視野障害 | 視神経圧迫の評価 |
腫瘍の性状はMRIで評価し、ホルモン検査で機能性か非機能性かを判定する。診断には画像所見とホルモン動態の両者が重要となる。
治療
- 第一選択:経蝶形骨洞手術による腫瘍摘出
- 補助療法:ドパミン作動薬(プロラクチノーマ)、放射線療法、ホルモン補充療法
- 注意点:術後の下垂体機能低下や再発に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 頭蓋咽頭腫 | 小児・若年者に多く石灰化や囊胞形成 | MRIで石灰化・囊胞像 |
| リンパ球性下垂体前葉炎 | 女性・妊娠出産期に多い、急性発症 | MRIで下垂体腫大・造影効果不均一 |
補足事項
下垂体腺腫は再発やホルモン異常の長期管理が必要となるため、定期的な画像・ホルモンフォローが重要である。プロラクチノーマでは薬物療法が第一選択となる場合もある。