プロラクチノーマ
概要
プロラクチノーマは下垂体前葉に発生するプロラクチン分泌性腺腫で、内分泌異常による高プロラクチン血症を特徴とする。女性では月経異常や乳汁分泌、男性では性機能障害が主症状となる。良性経過が多いが、腫瘍増大により視野障害などの圧迫症状を呈することもある。
要点
- 下垂体前葉のプロラクチン分泌腫瘍による高プロラクチン血症
- 女性は月経異常・乳汁分泌、男性は性機能障害が主徴
- 薬物療法(ドパミン作動薬)が第一選択
病態・原因
下垂体前葉のラクトトロープ細胞由来の良性腫瘍で、プロラクチン分泌が過剰となる。原因はほとんどが孤発性であるが、まれに多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)に合併することがある。エストロゲンや薬剤性の高プロラクチン血症との鑑別が重要である。
主症状・身体所見
女性では無月経、月経不順、乳汁分泌(乳漏)が多く、男性では性欲低下、勃起障害、不妊症がみられる。腫瘍が大きい場合は頭痛や両耳側半盲などの視野障害、下垂体機能低下症状も出現する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中プロラクチン値 | 高値 | しばしば100ng/mL以上 |
| 頭部MRI | 下垂体腫瘍 | 腫瘍の大きさ・浸潤度評価 |
| 視野検査 | 両耳側半盲 | 腫瘍による視交叉圧迫時 |
診断は血中プロラクチン高値と下垂体腫瘍の画像所見により行う。薬剤性や他疾患による高プロラクチン血症との鑑別が必要。MRIで微小腫瘍(<10mm)と巨大腫瘍(≥10mm)を区別する。
治療
- 第一選択:ドパミン作動薬(カベルゴリン、ブロモクリプチン)
- 補助療法:外科的腫瘍摘出(薬物抵抗例や視神経圧迫例)、放射線療法
- 注意点:妊娠希望時の管理、腫瘍増大時の定期的画像評価
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 下垂体前葉ホルモン単独欠損症 | 他の下垂体ホルモン低下症状 | プロラクチンは低値または正常 |
| 甲状腺機能低下症 | TSH上昇・FT4低下、甲状腺腫 | 甲状腺ホルモン異常が主 |
| 薬剤性高プロラクチン血症 | 抗精神病薬などの服用歴 | 画像で腫瘍を認めない |
補足事項
プロラクチノーマは女性に多く、月経異常や不妊症の原因として重要である。ドパミン作動薬による治療で多くがコントロール可能だが、薬剤中止で再発することもある。妊娠管理や骨代謝異常への注意も必要である。