クリミア・コンゴ出血熱
概要
クリミア・コンゴ出血熱はクリミア・コンゴ出血熱ウイルスによる重篤なウイルス性出血熱で、主にダニを介してヒトに感染する。アフリカ、アジア、東欧などで流行し、高い致死率を示す。発熱、出血傾向、多臓器不全を特徴とする。
要点
- ダニ媒介性の重症ウイルス性出血熱
- 急性発熱と全身出血傾向が主徴
- 致死率が高く、迅速な診断・隔離が重要
病態・原因
クリミア・コンゴ出血熱ウイルス(ナイロウイルス属、ブニヤウイルス科)が原因で、主にダニ咬傷や感染動物との接触によりヒトへ伝播する。ヒトからヒトへの血液・体液曝露による院内感染も報告されている。
主症状・身体所見
高熱、頭痛、筋肉痛、悪心・嘔吐、下痢などの非特異的症状で発症し、進行すると皮下出血、歯肉出血、消化管出血などの出血傾向を呈する。重症例ではショックや多臓器不全に至る。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 血小板減少、白血球減少、肝酵素上昇 | 出血傾向・肝障害の評価 |
| ウイルス遺伝子検出(PCR) | ウイルスRNA陽性 | 急性期の確定診断 |
| 血清抗体検査 | IgM/IgG抗体陽性 | 回復期の診断補助 |
急性期はPCRによるウイルス遺伝子検出が確定診断となる。血液検査で著明な血小板減少や肝障害がみられる。疫学的背景(流行地、ダニ曝露歴)が診断の手がかりとなる。
治療
- 第一選択:リバビリン(早期投与が推奨される)
- 補助療法:輸液・電解質管理、輸血、ショック対策など支持療法
- 注意点:感染隔離・標準予防策の徹底、曝露後の早期対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| エボラ出血熱 | アフリカ中西部流行、重篤な出血傾向 | エボラウイルスPCR陽性 |
| デング熱 | 発疹・関節痛、蚊媒介 | デングウイルス抗原・抗体陽性 |
| 腎症候性出血熱 | 腎障害が主体、げっ歯類媒介 | ハンタウイルス抗体陽性 |
補足事項
日本国内での自然発生はないが、輸入感染症として注意が必要。医療従事者の二次感染リスクが高いため、厳重な感染管理が求められる。ワクチンは実用化されていない。