選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)

概要

選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)は、組織ごとにエストロゲン受容体に対して作動薬または拮抗薬として作用する薬剤群である。骨や乳腺、子宮などの組織で異なる生理作用を示すことが特徴である。主に骨粗鬆症やホルモン依存性腫瘍の治療に用いられる。

要点

  • 骨や乳腺など組織特異的にエストロゲン作用を調節する
  • 骨粗鬆症や乳癌の治療・予防に用いられる
  • 子宮や血栓症リスクなど副作用に注意が必要

薬理作用・機序

SERMはエストロゲン受容体に結合し、組織ごとに異なる転写調節を行う。骨組織ではエストロゲン様作用を示し骨吸収を抑制する一方、乳腺ではエストロゲン拮抗作用を示し腫瘍増殖を抑制する。子宮内膜では薬剤により部分的な作動薬作用を持つ場合がある。

禁忌・副作用

血栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症)の既往歴がある患者には禁忌となる。副作用としては血栓症リスクの増加、ほてり、筋痙攣、子宮内膜増殖や出血などが知られる。長期投与時は婦人科的管理も重要となる。

適応疾患

疾患薬理作用補足
骨粗鬆症骨吸収抑制骨密度維持・骨折予防
乳癌エストロゲン拮抗作用ホルモン受容体陽性例で使用

SERMは骨粗鬆症の治療・予防や、ホルモン受容体陽性乳癌の治療・再発予防に適応される。骨代謝異常やホルモン依存性腫瘍に対して組織選択的に作用する点が特徴である。

薬品例

薬品名主に使われるケース
ラロキシフェン骨粗鬆症の治療・予防
タモキシフェン乳癌の治療・再発予防
トレミフェン乳癌の治療

補足事項

SERMは閉経後女性の骨粗鬆症治療や、乳癌の一次・二次予防において重要な薬剤である。薬剤ごとに子宮や血管系への影響が異なるため、個々のリスク評価と適切なモニタリングが必要となる。

関連疾患