分子標的治療薬

概要

分子標的治療薬は、がん細胞などの特定の分子構造やシグナル伝達経路を標的として作用する薬剤群である。従来の抗がん剤よりも選択的に病的細胞を攻撃し、正常細胞への影響を抑えることが特徴。主に悪性腫瘍や自己免疫疾患などに用いられる。

要点

  • 特定分子や受容体、シグナル経路を標的とする
  • 従来の化学療法より副作用が比較的少ない
  • がんや自己免疫疾患など多様な疾患に適応

薬理作用・機序

分子標的治療薬は、がん細胞や異常細胞で発現が亢進している受容体や酵素、シグナル伝達分子を選択的に阻害する。これにより細胞増殖や生存シグナルを遮断し、腫瘍の成長や進展を抑制する。

禁忌・副作用

標的分子が正常細胞にも発現している場合、皮膚障害、間質性肺炎、高血圧、心機能障害、血栓症、下痢など多彩な副作用がみられる。重篤な副作用発現時は中止や減量が必要となる。

適応疾患

疾患薬理作用補足
結腸癌EGFR/VEGF阻害、細胞増殖抑制KRAS遺伝子変異で効果減弱
肺腺癌EGFR/ALK阻害、増殖経路遮断ドライバー遺伝子変異を確認
乳癌HER2阻害、細胞増殖抑制HER2陽性例に適応
膵癌VEGF阻害、腫瘍血管新生抑制化学療法との併用が多い

分子標的治療薬は、がん細胞の特定分子異常に基づき適応が決定される。主に固形癌や血液腫瘍、自己免疫疾患などに用いられ、遺伝子変異や分子発現状態の検査が治療選択に重要となる。

薬品例

薬品名主に使われるケース
トラスツズマブHER2陽性乳癌
セツキシマブEGFR陽性大腸癌
イマチニブ慢性骨髄性白血病、GIST
ゲフィチニブEGFR変異陽性肺腺癌
ソラフェニブ肝細胞癌、腎細胞癌

補足事項

分子標的治療薬の効果判定にはバイオマーカーや遺伝子検査が必須となる。耐性獲得や副作用対策、他治療法との併用戦略が今後の課題である。

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