高カルシウム血症
概要
高カルシウム血症は血清カルシウム値が基準値(約8.5~10.5 mg/dL)を超えて上昇した状態。主な原因は悪性腫瘍や副甲状腺機能亢進症であり、重症例では生命に関わる。症状は多彩で、早期診断と治療が重要となる。
要点
- 原因は悪性腫瘍と副甲状腺機能亢進症が代表的
- 神経・筋・腎・消化器症状など多彩な臨床像を呈する
- 重症例では迅速な治療介入が必要
病態・原因
高カルシウム血症は骨吸収増加、腸管吸収増加、腎排泄低下などが機序となる。悪性腫瘍に伴うPTHrP産生や骨転移、副甲状腺機能亢進症、ビタミンD過剰などが主な原因である。
主症状・身体所見
倦怠感、筋力低下、意識障害、悪心・嘔吐、便秘、多尿、腎結石、心電図異常(QT短縮)などがみられる。重症例では昏睡や致死的不整脈を来すことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清カルシウム | 上昇(>10.5mg/dL) | イオン化カルシウム測定も有用 |
| PTH | 原因により増減 | 副甲状腺機能亢進症では上昇 |
| PTHrP | 上昇 | 悪性腫瘍随伴症候群で上昇 |
| ビタミンD | 増加または正常 | ビタミンD過剰摂取で増加 |
| 腎機能検査 | BUN/Cr上昇 | 脱水や腎障害の合併を示唆 |
高カルシウム血症の診断には血清カルシウム値の上昇を確認し、PTH・PTHrP・ビタミンD測定で原因を鑑別する。心電図ではQT短縮が特徴的である。
治療
- 第一選択:輸液負荷とループ利尿薬投与によるカルシウム排泄促進
- 補助療法:ビスホスホネート製剤、カルシトニン投与、原因疾患治療
- 注意点:脱水補正、心機能・腎機能のモニタリング、重症例では血液透析も考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 低カルシウム血症 | テタニーやQT延長、血清カルシウム低下 | 血清Ca低値、PTHやビタミンD異常 |
| 骨粗鬆症 | 骨量減少・骨折リスク増加 | 血清Caは正常、骨密度低下 |
| 原発性副甲状腺機能亢進症 | PTH高値・腎結石・骨吸収所見 | PTH上昇、血清Ca高値 |
補足事項
高カルシウム血症は高齢者やがん患者で頻度が高く、薬剤性(サイアザイド系利尿薬やビタミンD製剤)にも注意が必要。慢性化で腎障害や骨病変をきたすため、原因精査と再発予防が重要となる。