鎌状赤血球症
概要
鎌状赤血球症は、遺伝性の溶血性貧血であり、異常ヘモグロビンS(HbS)の出現により赤血球が鎌状に変形する疾患である。アフリカ系を中心に発症が多く、慢性的な貧血と血管閉塞性発作を特徴とする。重篤な合併症を伴うことが多い。
要点
- HbS遺伝子のホモ接合体で発症する
- 血管閉塞による多彩な臓器障害が生じる
- 感染症や低酸素で発作が誘発されやすい
病態・原因
βグロビン遺伝子の点突然変異により、グルタミン酸がバリンに置換されることで異常ヘモグロビンS(HbS)が産生される。低酸素状態でHbSが重合し、赤血球が鎌状に変形することで血管内閉塞や溶血をきたす。常染色体劣性遺伝形式をとる。
主症状・身体所見
慢性の溶血性貧血、黄疸、易感染性、成長障害がみられる。血管閉塞性発作(鎌状赤血球クリーゼ)では四肢や腹部の激痛、急性胸症候群、脾腫、脳梗塞、腎障害など多臓器障害が出現する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 末梢血塗抹 | 鎌状赤血球、標的赤血球 | 形態異常が特徴的 |
| ヘモグロビン電気泳動 | HbSの検出 | HbA減少、HbS増加 |
| 血算 | 溶血性貧血所見 | 網状赤血球増加、間接ビリルビン上昇 |
ヘモグロビン電気泳動でHbSの存在を確認することが診断の決め手となる。遺伝子検査も有用。骨髄穿刺は通常不要。
治療
- 第一選択:輸液・鎮痛・感染予防、重症例では輸血やヒドロキシウレア
- 補助療法:葉酸補充、ワクチン接種、日常的な感染対策
- 注意点:低酸素・脱水・感染の回避、脾摘後の感染予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| サラセミア | 地中海沿岸に多い、HbA2・HbF増加 | HbSなし、HbA2増加 |
| 遺伝性球状赤血球症 | 球状赤血球、脾腫が主体 | オスモチック脆性増加、HbSなし |
補足事項
新生児スクリーニングで早期発見が可能。ヒドロキシウレアはHbF産生を促し、発作頻度を減少させる。骨髄移植による根治も検討される。