迷走神経反射
概要
迷走神経反射は、過度の副交感神経(迷走神経)刺激により一過性の徐脈や血圧低下をきたし、失神や前失神を生じる反射性の循環調節障害である。しばしばストレス、痛み、長時間の立位などが誘因となる。若年者に多く、予後は良好なことが多い。
要点
- 強い副交感神経刺激による一過性の血圧低下・徐脈が特徴
- 失神発作は誘因(痛み・ストレス・立位)で生じやすい
- 原因除去と予防が治療の中心で、重症例では薬物療法も考慮
病態・原因
迷走神経反射は、情動刺激や立位保持、疼痛などによる過剰な副交感神経刺激が原因で発症する。これにより心拍数低下(徐脈)と末梢血管拡張が生じ、一過性の脳血流低下を引き起こす。若年者やストレスに敏感な人で発症しやすい。
主症状・身体所見
発作前に悪心、冷汗、顔面蒼白、めまい、視野狭窄などの前駆症状が現れる。重症例では意識消失(失神)を認める。通常は臥位で速やかに回復し、神経学的後遺症は残さない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| ホルター心電図 | 発作時の徐脈や心停止エピソード | 発作時の心拍変動を記録 |
| チルト試験 | 立位傾斜で血圧低下・徐脈を誘発 | 誘発により診断補助 |
| 血圧・脈拍測定 | 発作時の急激な低血圧・徐脈 | 発作間欠期は正常こと多い |
診断は、典型的な誘因・前駆症状・発作経過に加え、チルト試験やホルター心電図での徐脈・血圧低下の確認が有用である。器質的心疾患や他の失神原因の除外も重要。
治療
- 第一選択:誘因回避・臥位安静
- 補助療法:水分・塩分摂取、弾性ストッキング
- 注意点:重症例や反復例ではβ刺激薬やペースメーカーも検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 起立性調節性障害 | 長時間立位での失神、若年に多い | チルト試験で心拍増加主体 |
| 不整脈 | 発作時に脈拍異常が主症状 | 心電図で不整脈を確認 |
| 心原性失神 | 心疾患既往や労作時に発作 | 心エコー・心電図で異常 |
補足事項
迷走神経反射は予後良好であり、患者教育と生活指導が重要である。再発例や重症例では専門医への紹介を考慮する。薬物療法やペースメーカー植込みは稀な適応。