起立性調節性障害
概要
起立性調節性障害(orthostatic dysregulation)は、主に小児や思春期に発症しやすい自律神経機能異常による疾患。起立時の循環調節障害により、立ちくらみや失神、全身倦怠感など多彩な症状を呈する。精神的・身体的ストレスや生活習慣も発症に関与する。
要点
- 起立時に自律神経調節が破綻し、循環動態が不安定となる
- 小児・思春期に好発し、不登校や生活の質低下の要因となる
- 多彩な症状を呈し、診断には除外診断や詳細な問診が重要
病態・原因
自律神経系の異常により、立位保持時の血圧・心拍調節がうまく働かず、脳血流低下をきたす。遺伝的素因、精神的ストレス、生活リズムの乱れなどがリスク因子とされる。成長期のホルモンバランス変化も関与が指摘されている。
主症状・身体所見
立ちくらみ、失神、動悸、全身倦怠感、頭痛、朝起きられない、食欲不振などが主症状。不登校や日常生活動作の障害につながることがある。起立試験で血圧や心拍数の異常な変動が観察される。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 起立試験 | 血圧低下・頻脈 | 立位での循環動態変化を評価 |
| 自律神経機能検査 | 心拍変動異常 | 交感・副交感神経バランスの評価 |
| 血液検査 | 異常なし | 器質的疾患の除外 |
診断は主に問診・身体所見と起立試験による。器質的疾患や他の内科疾患を除外することが重要。画像検査は原則不要だが、鑑別目的で施行されることもある。
治療
- 第一選択:生活指導(規則正しい生活、十分な水分・塩分摂取)
- 補助療法:運動療法、必要時に薬物療法(ミドドリンなど)
- 注意点:心理的サポートや再発防止、過度な安静の回避
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 迷走神経反射 | 急激なストレスや痛みで誘発 | 起立時以外にも発作、誘因明確 |
| 低血圧症 | 慢性的な血圧低下 | 起立試験での反応が一様ではない |
補足事項
近年、思春期の不登校や社会適応障害との関連も注目されている。治療は家族や学校との連携も重要。成人移行例や慢性経過例ではQOL低下や精神症状の合併に注意する。