萎縮性腟炎
概要
萎縮性腟炎は、主に閉経後女性にみられる腟粘膜の萎縮・菲薄化と炎症を特徴とする疾患である。エストロゲン低下が主因で、腟の乾燥や掻痒、性交痛などの症状を呈する。感染症との鑑別が重要であり、生活の質低下の原因となる。
要点
- エストロゲン低下により腟上皮が菲薄化し炎症を生じる
- 腟の乾燥、掻痒、性交痛などが主症状
- 閉経後女性に好発し、感染症との鑑別が重要
病態・原因
主な原因は閉経や卵巣機能低下によるエストロゲン分泌の減少である。これにより腟上皮が菲薄化し、腟内の自浄作用やバリア機能が低下、不顕性炎症や二次感染が生じやすくなる。
主症状・身体所見
腟の乾燥感、掻痒感、灼熱感、性交痛(性交困難)、帯下の増加、しばしば外陰部の発赤や腫脹を伴う。腟鏡診で腟粘膜の菲薄化や点状出血がみられることが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腟鏡診 | 腟粘膜の菲薄化、点状出血 | 粘膜の萎縮や発赤を確認 |
| 腟分泌物検査 | 白血球増加、pH上昇 | 二次感染や他疾患との鑑別に有用 |
| 細胞診 | 表層細胞の減少 | エストロゲン低下の反映 |
腟分泌物のpH上昇(pH>5)が特徴で、細菌性腟炎やカンジダ症など他の腟炎との鑑別が必要。診断は臨床所見と問診、腟鏡所見を組み合わせて行う。
治療
- 第一選択:局所エストロゲン製剤の腟内投与
- 補助療法:保湿剤の使用、生活指導、腟潤滑剤
- 注意点:ホルモン補充療法の禁忌例や乳癌既往歴への配慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 細菌性腟症 | 灰白色帯下・魚臭、pH>4.5 | アミン臭テスト陽性、Clue cell |
| 外陰腟カンジダ症 | 強い掻痒・白色帯下 | KOH検鏡で菌糸・芽胞 |
補足事項
エストロゲン製剤は全身投与よりも局所投与が推奨される。再発予防には定期的な腟ケアが重要。乳癌治療中の患者では非ホルモン療法(保湿剤など)を優先する。