Behçet病
概要
Behçet病は全身性の慢性炎症性疾患で、主に口腔内アフタ、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状(ぶどう膜炎)を特徴とする。血管炎を主体とし、消化管や中枢神経など多臓器に炎症をきたすことがある。中年層に多く、再発と寛解を繰り返す。
要点
- 口腔内アフタ、外陰部潰瘍、皮膚・眼症状が四大主徴
- 血管炎を基盤とし多臓器障害を呈する
- 再発と寛解を繰り返す慢性経過
病態・原因
Behçet病は自己免疫機序や遺伝的素因、感染症の関与が示唆されているが、詳細な発症機序は不明である。血管炎を基盤とし、全身の動静脈に炎症を生じる。HLA-B51陽性率が高いことが疫学的特徴である。
主症状・身体所見
反復性の口腔内アフタ性潰瘍が最も頻度が高い。外陰部潰瘍、結節性紅斑様皮疹、眼症状(虹彩毛様体炎、ぶどう膜炎)、関節痛、消化管潰瘍、中枢神経症状など多彩な症状を呈する。皮膚の針反応陽性も特徴的。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚針反応テスト | 陽性(膿疱形成) | 特異的だが感度は低い |
| 血液検査 | 炎症反応(CRP↑, ESR↑) | HLA-B51陽性も参考 |
| 眼科検査 | 前房炎・ぶどう膜炎 | 失明リスクあり |
| 消化管内視鏡 | 潰瘍(特に回盲部) | 消化管型の診断に有用 |
診断は臨床症状(口腔内アフタ、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状など)の組み合わせによる。国際診断基準や厚労省診断基準が用いられ、画像検査や内視鏡で臓器障害を評価する。
治療
- 第一選択:コルヒチン、ステロイド、免疫抑制薬
- 補助療法:抗TNFα抗体、生物学的製剤、対症療法
- 注意点:再発予防、感染症への注意、眼合併症の早期治療
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Crohn病 | 口腔・肛門病変、縦走潰瘍、瘻孔形成 | 消化管病変が主体 |
| 潰瘍性大腸炎 | 直腸から連続性に炎症、血便 | 粘膜下層までの炎症 |
| 腸管Behçet病 | 消化管潰瘍が主、他の主徴が乏しいことも | 回盲部潰瘍が特徴的 |
補足事項
Behçet病は眼症状による失明や消化管穿孔、中枢神経障害など重篤な合併症があるため、早期診断と多職種連携が重要である。新規生物学的製剤の登場により治療選択肢が拡大している。