肺高血圧症

概要

肺高血圧症は肺動脈圧が異常に上昇する疾患群であり、進行性の右心不全を引き起こす。特発性や遺伝性、他疾患に続発するものなど多様な原因がある。症状や予後は原因や重症度により大きく異なる。

要点

  • 肺動脈圧の上昇が持続し、右心負荷を増大させる
  • 息切れ、易疲労感、浮腫など非特異的な症状が多い
  • 早期診断・治療が予後改善に重要

病態・原因

肺高血圧症は肺血管の収縮、リモデリング、血栓形成などにより肺動脈圧が高まる。原因は特発性、遺伝性、膠原病、先天性心疾患、慢性肺疾患、慢性血栓塞栓性など多岐にわたる。リスク因子には膠原病、HIV感染、肝疾患、家族歴などがある。

主症状・身体所見

初期は労作時息切れや易疲労感が多く、進行すると呼吸困難、失神、胸痛、末梢浮腫、頸静脈怒張、肝腫大など右心不全徴候が出現する。症状は非特異的で進行するまで気づかれにくい。

検査・診断

検査所見補足
心エコー右室拡大、肺動脈圧上昇非侵襲的スクリーニング
右心カテーテル検査肺動脈平均圧≧25mmHg診断のゴールドスタンダード
胸部X線・CT肺動脈主幹部拡大、右心拡大他疾患除外や重症度評価

右心カテーテル検査で安静時肺動脈平均圧25mmHg以上が診断基準となる。心エコーで右心系負荷や肺動脈圧推定、CTで血栓や肺疾患の合併評価も重要。

治療

  • 第一選択:原因疾患治療、肺血管拡張薬(エンドセリン受容体拮抗薬、PDE5阻害薬、プロスタサイクリン系薬)
  • 補助療法:酸素投与、利尿薬、抗凝固療法、リハビリテーション
  • 注意点:早期治療開始、ワクチン接種、感染予防、重症例は肺移植も検討

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
慢性心不全左心系優位の所見、肺うっ血左室機能低下、BNP高値
間質性肺疾患肺線維化所見、ばち指HRCTで蜂巣肺像
慢性肺血栓塞栓症血栓既往、D-dimer高値CT・肺血流シンチで血栓像

補足事項

肺高血圧症の分類や治療薬は近年大きく進歩しており、定期的なガイドライン更新の確認が必要。特発性や遺伝性の場合、家族歴や遺伝子検査も考慮される。

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