肺挫傷
概要
肺挫傷は胸部外傷によって肺実質に非穿通性損傷が生じ、肺胞出血や浮腫をきたす状態である。交通事故や高所転落などの鈍的外傷で発生しやすく、呼吸不全や血痰などの症状を呈する。重症例では急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や二次感染のリスクがある。
要点
- 鈍的胸部外傷後に肺実質が損傷し、出血や浮腫を生じる
- 呼吸困難、血痰、低酸素血症などの症状がみられる
- 重症例ではARDSや感染症などの合併症に注意が必要
病態・原因
主に交通事故や転落などによる鈍的胸部外傷が原因となり、肺実質に直接的な圧力や剪断力が加わることで肺胞損傷・出血・浮腫が生じる。高エネルギー外傷や胸郭変形を伴う場合に発生リスクが高い。
主症状・身体所見
呼吸困難、血痰、咳嗽、胸痛などが主症状である。身体所見としては呼吸音の減弱、湿性ラ音、打診で濁音を認めることがある。重症例ではチアノーゼやショック症状を呈することもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線 | 浸潤影、不透過域 | 外傷直後は所見不明瞭なことあり |
| 胸部CT | すりガラス影、区域性浸潤影 | 小病変や合併損傷の評価に有用 |
| 血液ガス分析 | 低酸素血症 | 重症度評価や治療方針決定に重要 |
胸部X線では外傷後数時間で浸潤影が現れることが多いが、初期は正常な場合もある。CTは微細な損傷や合併症の評価に有用。診断は外傷歴と画像所見、臨床症状を総合して行う。
治療
- 第一選択:酸素投与や呼吸管理(必要時人工呼吸管理)
- 補助療法:疼痛管理、体位ドレナージ、二次感染予防
- 注意点:過剰輸液の回避、ARDSや感染症の早期発見と対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肺挫傷 | 外傷歴、血痰、画像で浸潤影 | CTで区域性浸潤影、外傷直後はX線で不明瞭なことも |
| 肺炎 | 発熱・感染徴候、慢性経過 | 痰培養陽性、炎症反応高値、外傷歴なし |
| 気胸 | 呼吸音減弱、過膨張 | 胸部X線で虚脱像、肺野透亮性増加 |
補足事項
外傷後すぐには画像所見が明らかでないことがあるため、経時的な評価が重要。高齢者や既往肺疾患のある患者では重症化しやすい。合併する肋骨骨折や気胸の有無も評価する。