肩関節周囲炎

概要

肩関節周囲炎は、肩関節周囲の軟部組織(腱、滑液包、靭帯など)に炎症が生じ、疼痛や可動域制限をきたす疾患群。中年以降に好発し、「五十肩」とも呼ばれる。自然軽快することもあるが、長期間症状が遷延する場合もある。

要点

  • 肩関節の疼痛と運動制限が主症状
  • 中年以降に多く、明確な外傷歴がない
  • 保存的治療が中心で予後は良好なことが多い

病態・原因

肩関節周囲の腱板、滑液包、関節包などに加齢や微小外傷、血流障害などが関与して炎症が生じる。明確な誘因がないことが多いが、糖尿病や甲状腺疾患などの基礎疾患もリスク因子となる。

主症状・身体所見

肩関節の自発痛、夜間痛、運動時痛がみられ、特に外転や挙上動作で制限される。関節可動域の制限(特に外旋・外転)が特徴的で、筋萎縮や筋力低下を伴うこともある。

検査・診断

検査所見補足
X線検査骨異常なし~軽度の変化他疾患除外目的
超音波検査滑液包肥厚・腱板変性など軟部組織の評価
MRI関節包肥厚、滑液包炎、腱板変性詳細な軟部組織評価

X線で骨性異常がないことを確認し、腱板断裂や石灰沈着性腱炎などの鑑別が重要。MRIや超音波で滑液包や腱板の炎症・変性を評価する。臨床的には運動制限・夜間痛・明確な外傷歴の欠如が診断の手がかりとなる。

治療

  • 第一選択:安静、消炎鎮痛薬、理学療法(リハビリテーション)
  • 補助療法:局所ステロイド注射、温熱療法、可動域訓練
  • 注意点:過度の安静は拘縮を助長するため、疼痛管理しつつ早期リハビリを心がける

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
腱板障害挙上時の筋力低下・インピンジメント徴候MRIで腱板断裂や変性を確認
反復性肩関節脱臼若年者・外傷歴・脱臼の既往X線で骨欠損や脱臼を認める
頸肩腕症候群頸部痛や上肢への放散痛・しびれ頸椎X線・神経学的所見異常

補足事項

自然軽快する例も多いが、症状が遷延する場合は腱板断裂や他疾患の合併を再評価する。糖尿病患者では難治例が多く、治療期間が長期化することもある。

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