肛門脱

概要

肛門脱は肛門管粘膜または直腸の全層が肛門外へ脱出する状態を指す。小児や高齢者に多く、便秘や腹圧上昇が誘因となる。進行すると脱出が固定化し、潰瘍や壊死をきたすこともある。

要点

  • 肛門粘膜または直腸全層が肛門外に突出する
  • 便秘・腹圧上昇が主な誘因
  • 進行例では脱出が還納困難となり合併症を生じる

病態・原因

加齢や分娩、慢性的な便秘などによる骨盤底筋の脆弱化や、腹圧上昇が主な発症機序である。小児では発達未熟、高齢者では筋力低下が背景となる。直腸粘膜のみの脱出(粘膜脱)と直腸全層の脱出(全層脱)がある。

主症状・身体所見

排便時や腹圧時に肛門から粘膜または直腸が突出し、進行例では常時脱出する。脱出部は発赤・腫脹し、出血や疼痛、潰瘍を伴うこともある。長期化すると還納困難や壊死をきたす。

検査・診断

検査所見補足
視診・診察肛門外への突出物確認排便時の観察が重要
直腸指診脱出範囲・全層か粘膜か全層脱出で断裂溝触知
造影検査直腸脱出の程度評価必要時に施行

視診で脱出の有無・範囲を確認し、直腸指診で全層脱か粘膜脱かを判断する。進行例や鑑別困難例では直腸造影や内視鏡検査を追加することもある。

治療

  • 第一選択:保存的治療(便通調整・骨盤底筋訓練)、重症例は外科的修復
  • 補助療法:局所ケア、便軟化剤、腹圧回避指導
  • 注意点:脱出部の壊死や潰瘍化に留意し、還納不能例は緊急手術検討

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
直腸脱肛門よりさらに大きく脱出指診で全層脱出を確認
内痔核脱出部が分葉状、出血多い指診で柔軟な腫瘤
裂肛疼痛主体、脱出は伴わない裂創の有無

補足事項

小児例は多くが自然軽快するが、成人例や再発例では手術適応となることが多い。骨盤底筋強化や便通コントロールが重要である。

関連疾患