精巣上体炎
概要
精巣上体炎は、精巣上体(副睾丸)に生じる急性または慢性の炎症であり、主に尿路感染症や性感染症が原因となる。若年者ではクラミジアや淋菌、中高年では尿路感染症に続発することが多い。発熱や陰嚢痛、腫脹を主症状とする。
要点
- 急性発症の陰嚢痛と腫脹が特徴的
- 若年者では性感染症、中高年では尿路感染が主な原因
- 早期治療により予後は良好だが、重症化で不妊のリスクも
病態・原因
精巣上体へ尿道や膀胱からの逆行性感染が主な発症機序である。若年者ではクラミジアや淋菌などの性感染症、中高年では大腸菌などの尿路感染症が多い。尿路閉塞やカテーテル留置もリスク因子となる。
主症状・身体所見
急性の陰嚢痛、腫脹、発赤が主症状で、発熱や排尿時痛、尿道分泌物を伴うこともある。患側の精巣上体の圧痛や腫大、Prehn徴候(陰嚢挙上で痛みが軽減)が認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 白血球・細菌の増加 | 尿路感染の評価 |
| 超音波検査 | 精巣上体の腫大・血流増加 | 精巣捻転との鑑別に有用 |
| 尿道分泌物検査 | クラミジア・淋菌の検出 | 若年者で重要 |
尿培養や分泌物培養で起因菌を同定する。超音波検査は精巣捻転との鑑別に不可欠であり、血流増加があれば精巣上体炎を支持する。
治療
- 第一選択:起因菌に応じた抗菌薬投与(ニューキノロン系やセフェム系など)
- 補助療法:安静、陰嚢挙上、鎮痛薬
- 注意点:精巣捻転との鑑別、重症例は入院管理や手術適応も
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 精巣捻転 | 急激な発症、Prehn徴候陰性 | 超音波で血流低下 |
| 精巣炎 | 精巣本体の腫脹・圧痛 | 超音波で精巣の腫大 |
| 陰嚢水腫 | 無痛性の腫脹、透光性あり | 超音波で液体貯留確認 |
補足事項
抗菌薬の選択は年齢やリスク因子、性感染症の有無によって異なる。精巣捻転との鑑別が遅れると不可逆的な精巣障害を生じるため、緊急性の判断が重要である。