神経芽腫

概要

神経芽腫は主に小児に発生する交感神経系由来の悪性腫瘍で、腹部(副腎髄質や交感神経節)に好発する。進行例では転移を伴うことが多く、年齢や遺伝子異常によって予後が左右される。早期発見とリスク分類に基づく治療が重要である。

要点

  • 小児の腹部腫瘍として最も頻度が高い悪性腫瘍の一つ
  • 臨床的多様性があり、自然退縮から進行性腫瘍まで幅広い
  • 遺伝子異常(MYCN増幅など)が予後に大きく影響

病態・原因

神経芽腫は胎生期の神経堤由来細胞の分化異常により発生し、主に副腎髄質や交感神経節に腫瘍を形成する。MYCN遺伝子増幅や染色体異常がリスク因子として知られる。家族性発症は稀である。

主症状・身体所見

腹部腫瘤、腹痛、食欲不振、体重減少などの全身症状がみられる。進行例では骨痛、眼窩周囲の腫脹(パンダサイン)、高血圧、ホルモン異常による発汗や下痢も特徴的である。

検査・診断

検査所見補足
尿中カテコラミンバニリルマンデル酸(VMA)、HVAの上昇神経芽腫の特異的マーカー
画像検査腹部CT/MRIで腫瘍性病変、石灰化、転移の有無原発巣・転移の評価に有用
骨髄検査腫瘍細胞浸潤の有無病期分類・リスク評価に重要

尿中カテコラミンの上昇(VMA、HVA)は診断の決め手となる。画像検査で腹部腫瘍の石灰化や転移巣を確認し、骨髄浸潤の有無やMYCN遺伝子増幅などのリスク分類も診断・治療方針決定に不可欠である。

治療

  • 第一選択:手術切除および化学療法(リスク分類に応じて)
  • 補助療法:放射線療法、自家末梢血幹細胞移植、高用量化学療法
  • 注意点:治療関連毒性、晩期合併症、再発時の治療選択

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
Wilms腫瘍腎原発、血尿・高血圧が多い尿中カテコラミン上昇なし
横紋筋肉腫軟部組織腫瘍、年長児にも発症カテコラミン正常、腫瘍マーカー陰性
消化管神経内分泌腫瘍消化管症状が主体、成人にも多いカテコラミン上昇しない

補足事項

神経芽腫は自然退縮する例もあり、低リスク群では経過観察のみで治癒することもある。高リスク例では長期予後改善のため新規治療法の開発が進められている。

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