無顆粒球症
概要
無顆粒球症は、末梢血中の好中球が著しく減少し(通常500/μL未満)、感染症のリスクが著明に上昇する血液疾患である。多くは薬剤性で発症し、重篤な感染症や敗血症を来すことがある。
要点
- 好中球減少により重篤な感染症を合併しやすい
- 主な原因は薬剤(抗菌薬、抗甲状腺薬、抗がん剤など)
- 早期の診断と速やかな治療開始が予後改善に重要
病態・原因
骨髄での好中球産生障害または末梢での破壊・消失が原因となる。原因の多くは薬剤性で、抗菌薬、抗甲状腺薬、抗がん剤などが代表的である。まれに自己免疫や感染症、先天異常が関与することもある。
主症状・身体所見
発熱、咽頭痛、口腔内潰瘍、咳嗽、全身倦怠感など感染症症状が主体となる。皮膚や粘膜の感染、肺炎、敗血症など重篤な感染を合併しやすい。身体所見では発熱や局所感染兆候が重要である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 末梢血液検査 | 好中球数500/μL未満 | 決定的診断基準 |
| 骨髄検査 | 顆粒球系細胞の減少 | 鑑別・原因検索に有用 |
| 感染症マーカー | CRP・PCT上昇 | 感染合併の評価 |
末梢血好中球数が500/μL未満で診断される。骨髄検査で顆粒球系細胞の減少がみられる場合、薬剤歴や感染症状の有無を総合して診断する。感染合併時は血液培養や画像検査も行う。
治療
- 第一選択:原因薬剤の中止と広域抗菌薬投与
- 補助療法:G-CSF製剤投与、支持療法(輸液・栄養管理)
- 注意点:感染予防策の徹底、発熱時は速やかに治療開始
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 再生不良性貧血 | 汎血球減少・網状赤血球減少 | 赤血球・血小板も減少 |
| 発熱性好中球減少症 | 好中球減少+発熱、化学療法後 | 好中球減少の経過と発熱 |
| 骨髄異形成症候群 | 不応性貧血・形態異常 | 骨髄異形成細胞の存在 |
補足事項
薬剤性が最多であり、特に高齢者や免疫抑制状態では重症化しやすい。G-CSFによる造血刺激が奏功することが多いが、感染症の早期発見・治療が最重要である。