機能性難聴
概要
機能性難聴は、聴覚伝導路や内耳、聴神経に明らかな器質的異常が認められないにもかかわらず、聴力低下を訴える状態である。主に心因性要因や心理的ストレスが関与し、検査所見と自覚症状が一致しないのが特徴である。小児や思春期に多く発症する。
要点
- 器質的な異常が認められない
- 心因性・心理的要因が関与
- 聴力検査と自覚症状が一致しない
病態・原因
機能性難聴は、精神的ストレスや心理的葛藤、社会的要因などが背景となり、無意識的に聴力障害を訴える。身体的な器質的異常は認められず、心因性難聴とも呼ばれる。小児や思春期の心理的発達段階で発症しやすい。
主症状・身体所見
主な症状は聴力低下の訴えであり、片側性または両側性で発症することが多い。身体所見や耳鏡所見では異常がなく、会話や日常生活での反応は正常な場合が多い。症状の変動や、状況による聴力の変化が特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 純音聴力検査 | 聴力低下を示すが、検査中の変動が大きい | 聴力閾値の一貫性に欠ける |
| ABR(聴性脳幹反応) | 正常波形を示す | 器質的障害が否定的 |
| ティンパノメトリー | 正常 | 中耳疾患の除外 |
純音聴力検査では閾値の変動や検査者による差がみられる。ABRやティンパノメトリーなどの客観的検査で異常がなければ診断の参考となる。診断には器質的疾患の除外が必須である。
治療
- 第一選択:心理的サポート、カウンセリング
- 補助療法:家族指導、教育的介入
- 注意点:過度な追及や否定は避け、安心感を与える
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 突発性難聴 | 突然発症、器質的異常あり | ABRで異常波形、聴力固定 |
| 老人性難聴 | 高齢者、両側性、進行性 | 聴力検査で高音域優位の低下 |
| 騒音性難聴 | 騒音曝露歴、特定周波数の障害 | 4000Hz付近の聴力低下 |
補足事項
機能性難聴は、学校や家庭環境の変化など心理的ストレスが契機となることが多い。過剰な医療介入は逆効果となるため、信頼関係の構築と長期的フォローが重要である。