慢性骨髄性白血病
概要
慢性骨髄性白血病(CML)は、骨髄における造血幹細胞の異常増殖による白血病で、主にフィラデルフィア染色体(BCR-ABL融合遺伝子)を有することが特徴である。中高年に多く、進行すると急性転化(急性白血病様状態)をきたす。分子標的治療の発展により、予後は大きく改善している。
要点
- フィラデルフィア染色体(BCR-ABL融合遺伝子)が高頻度
- 慢性期・移行期・急性転化期の3期に分類される
- チロシンキナーゼ阻害薬が治療の中心
病態・原因
造血幹細胞における9番染色体と22番染色体の転座(t(9;22)(q34;q11))によってBCR-ABL融合遺伝子が形成され、異常なチロシンキナーゼ活性が細胞増殖を促進する。発症リスクの明確な環境因子は少ないが、放射線被曝との関連が指摘されている。
主症状・身体所見
初期は無症状のことが多いが、進行に伴い全身倦怠感、体重減少、発熱、寝汗、脾腫による腹部膨満感などを認める。血液検査で白血球増加が顕著であり、脾腫が重要な身体所見となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 末梢血液検査 | 白血球増加、好中球系優位 | 血小板増加や貧血もみられる |
| 骨髄検査 | 骨髄過形成、顆粒球系増加 | 芽球比率増加で急性転化を評価 |
| 染色体検査 | フィラデルフィア染色体陽性 | BCR-ABL融合遺伝子の検出 |
診断は末梢血・骨髄像での白血球増多と分化度、フィラデルフィア染色体(t(9;22))やBCR-ABL融合遺伝子の検出で確定する。分子遺伝学的検査が重要である。
治療
- 第一選択:チロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブなど)
- 補助療法:対症療法、必要に応じて輸血や白血球除去
- 注意点:治療抵抗例や若年例では造血幹細胞移植を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性骨髄性白血病 | 芽球の増加・急性経過 | フィラデルフィア染色体陰性が多い |
| 骨髄異形成症候群 | 汎血球減少・無効造血 | BCR-ABL融合遺伝子陰性 |
| 類白血病反応 | 感染や炎症が原因 | 染色体異常・BCR-ABL陰性 |
補足事項
分子標的治療の普及により長期生存が可能となったが、治療抵抗例や急性転化例では予後不良となる。薬剤耐性や副作用、治療中断時の再発に注意が必要である。