急性炭酸リチウム中毒
概要
急性炭酸リチウム中毒は、気分障害治療薬であるリチウムの過剰摂取により生じる中毒状態である。中枢神経症状や消化器症状、重症例では腎障害や不整脈が出現する。早期の診断と適切な治療が予後改善に重要である。
要点
- 中枢神経抑制や振戦、意識障害が特徴
- 消化器症状や心電図異常を伴うことが多い
- 血中リチウム濃度測定と早期治療が鍵
病態・原因
気分障害治療のために用いられる炭酸リチウムの過量摂取や腎機能低下による排泄障害が主な原因である。リチウムは主に腎臓から排泄されるため、脱水や薬剤相互作用もリスク因子となる。
主症状・身体所見
初期には悪心・嘔吐・下痢などの消化器症状が現れ、進行すると振戦、筋力低下、運動失調、意識障害、痙攣などの神経症状が出現する。重症例では不整脈や腎障害もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中リチウム濃度 | 上昇(>1.5 mEq/Lで中毒域) | 中毒診断の指標、定期的モニタリング |
| 血液生化学検査 | 電解質異常、腎機能障害 | BUN, Cr, Na, K, Caなどを評価 |
| 心電図 | QT延長、不整脈 | 重症例では致死的不整脈に注意 |
血中リチウム濃度の上昇が診断の決め手となる。臨床症状の重症度と血中濃度の両方を総合的に判断する。画像検査は原則不要だが、鑑別のために頭部CTなどが行われる場合もある。
治療
- 第一選択:胃洗浄・活性炭、重症例では血液透析
- 補助療法:輸液による利尿促進、電解質補正、対症療法
- 注意点:腎機能障害や高齢者では特に重症化しやすく、再発防止のため服薬指導が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性アルコール中毒 | 意識障害・酩酊、呼吸抑制 | 血中アルコール濃度上昇 |
| 三環系薬剤中毒 | 抗コリン症状、心電図QRS延長 | 血中三環系薬剤濃度上昇 |
| 低ナトリウム血症 | 意識障害・痙攣、浮腫 | 低Na血症、リチウム濃度正常 |
補足事項
急性中毒は慢性中毒よりも消化器症状が強く、神経症状は遅れて出現することが多い。リチウムは治療域と中毒域の差が狭く、服薬管理が極めて重要である。