大腿骨頸部骨折

概要

大腿骨頸部骨折は、高齢者や骨粗鬆症患者に多く発生する大腿骨の頸部(股関節付近)の骨折である。転倒などの軽微な外力でも発症しやすく、寝たきりや死亡率の増加と強く関連する。早期診断と適切な治療が予後改善に重要である。

要点

  • 高齢者・骨粗鬆症患者に多い
  • 転倒など軽微な外傷で発生
  • 早期治療が機能予後と生命予後に直結

病態・原因

大腿骨頸部骨折は骨粗鬆症による骨強度低下が主なリスク因子であり、特に高齢者では転倒などの軽い外傷でも発生する。骨の血流障害や加齢による筋力低下も発症に寄与する。

主症状・身体所見

患側股関節の疼痛、荷重不能、下肢の短縮と外旋変形が典型的である。自力歩行不能となり、立位保持も困難となる。高齢者では転倒歴が明確でないこともある。

検査・診断

検査所見補足
X線撮影頸部骨折線の確認、骨片転位標準的診断法
MRI骨折線が不明瞭な場合の骨髄浮腫早期診断、隠れ骨折の検出に有用

X線で骨折が明瞭でない場合や、非転位骨折の疑いではMRIが有用。Garden分類やPauwels分類で骨折型を評価し、治療方針決定に用いる。

治療

  • 第一選択:観血的整復固定術または人工骨頭置換術
  • 補助療法:リハビリテーション、骨粗鬆症治療、疼痛管理
  • 注意点:早期離床・深部静脈血栓症や肺炎の予防

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
骨盤骨折股関節痛に加え骨盤部の腫脹や皮下出血骨盤部のX線異常
大腿骨転子部骨折股関節よりやや遠位、腫脹が目立つ転子部の骨折線明瞭
外傷性股関節脱臼明らかな脱臼肢位、激痛・可動域制限関節の位置異常がX線で判明

補足事項

高齢者の大腿骨頸部骨折は、長期臥床による廃用症候群や合併症(肺炎、褥瘡、深部静脈血栓症)を生じやすいため、早期手術と離床が強く推奨される。骨粗鬆症の評価と治療も並行して行うことが重要である。

関連疾患