原発性肺胞低換気症候群

概要

原発性肺胞低換気症候群は、明らかな肺・胸郭・神経筋疾患や肥満がないにもかかわらず、肺胞換気が低下し、慢性的な高炭酸ガス血症と低酸素血症を呈する稀な呼吸疾患である。主に中枢性呼吸調節機構の異常が関与し、特に睡眠中に症状が顕著となる。

要点

  • 肺や神経筋疾患の除外が診断の前提
  • 睡眠時に換気不全が悪化しやすい
  • 慢性的な高炭酸ガス血症・低酸素血症が特徴

病態・原因

中枢性呼吸調節機構の異常により、換気ドライブが低下することが主な病態である。肥満や肺・神経筋疾患など二次的要因が存在しないことが診断の条件となる。遺伝的素因や先天的な中枢神経の異常が関与すると考えられている。

主症状・身体所見

日中の傾眠や頭痛、集中力低下など慢性高炭酸ガス血症による症状がみられる。夜間の無呼吸やいびき、チアノーゼ、呼吸困難が現れやすい。進行例では多血症や肺高血圧症、右心不全を合併することがある。

検査・診断

検査所見補足
動脈血液ガス分析高炭酸ガス血症(PaCO₂上昇)・低酸素血症(PaO₂低下)安静時・夜間ともに異常が持続
睡眠ポリグラフ睡眠時換気低下・無呼吸イベント睡眠時に症状が顕著
画像検査肺・胸郭・神経筋疾患の除外胸部X線やCT、MRIで他疾患を除外

診断は、他の肺疾患・神経筋疾患・肥満などによる二次性低換気を除外し、慢性的な高炭酸ガス血症(PaCO₂>45mmHg)と低酸素血症を認めることが基準となる。睡眠時の換気障害の確認も重要である。

治療

  • 第一選択:非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)
  • 補助療法:酸素療法、呼吸リハビリテーション
  • 注意点:過剰な酸素投与によるCO₂ナルコーシスに留意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
睡眠時無呼吸症候群肥満や上気道閉塞の有無ポリグラフで閉塞性無呼吸
慢性閉塞性肺疾患(COPD)喫煙歴、閉塞性換気障害スパイロメトリーで閉塞性パターン
神経筋疾患による低換気筋力低下や筋萎縮の有無筋電図や神経伝導検査

補足事項

小児例では「先天性中枢性肺胞低換気症候群(CCHS)」として知られ、PHOX2B遺伝子異常が関与する。成人例は稀であり、睡眠時無呼吸症候群との鑑別が重要となる。

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