十二指腸憩室
概要
十二指腸憩室は、十二指腸壁の一部が袋状に突出した病態で、多くは無症状だが合併症を伴うこともある。主に高齢者に多く、偶発的に発見されることが多い。穿孔や炎症、胆道系疾患との関連にも注意が必要となる。
要点
- 十二指腸壁の外側へ袋状に突出する良性病変
- 多くは無症状だが、出血・炎症・穿孔などの合併症に注意
- 内視鏡や画像診断で偶発的に発見されることが多い
病態・原因
十二指腸憩室は、加齢や壁の脆弱化などにより、十二指腸壁の筋層が欠損した部位から粘膜・粘膜下層が外側へ突出して形成される。特に乳頭部周囲に好発し、胆道・膵管の走行異常や高内圧も発症に関与する。
主症状・身体所見
多くは無症状だが、大きな憩室では腹部不快感や膨満感を訴えることがある。合併症としては出血、穿孔、炎症、胆管閉塞による黄疸や胆管炎などが見られる場合がある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 上部消化管内視鏡 | 十二指腸壁からの袋状突出を認める | 乳頭部周囲に多く偶発的発見多い |
| 腹部造影CT | 憩室の形態・位置、合併症の評価 | 穿孔や炎症の有無も確認可能 |
| 消化管造影検査 | 憩室内への造影剤貯留を認める | 詳細な形状把握に有用 |
診断は内視鏡や画像検査での憩室の確認による。穿孔や炎症を疑う場合はCTで周囲の炎症や液体貯留を評価する。胆道系合併症時はMRCPやERCPも検討される。
治療
- 第一選択:無症状例は経過観察、合併症例は内視鏡的または外科的治療
- 補助療法:抗菌薬投与(炎症時)、絶食・輸液管理
- 注意点:穿孔や大量出血時は緊急手術適応、胆道合併症にも注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 十二指腸潰瘍 | 粘膜欠損・潰瘍底の形成 | 潰瘍周囲の炎症・出血像 |
| 結腸憩室症 | 結腸に限局した袋状突出 | 下部消化管造影やCTで部位確認 |
| 空腸憩室 | 空腸に好発、症状・合併症類似 | 造影や内視鏡で部位・形状を区別 |
補足事項
十二指腸乳頭部近傍の憩室は胆道・膵疾患のリスク因子となることがある。穿孔・炎症の際は重篤化しやすく、早期診断・治療が重要。高齢者での偶発的発見が多く、経過観察中も合併症に注意。