Meckel憩室
概要
Meckel憩室は小腸(回腸)の先天性憩室で、胎生期の卵黄腸管遺残によって生じる。消化管出血や腸閉塞などの合併症を呈することがある。小児から成人まで幅広い年齢層で臨床的意義を持つ。
要点
- 先天性の消化管憩室として最多
- 無症状例も多いが、出血や閉塞を起こす
- Tc-99mシンチグラフィが診断に有用
病態・原因
胎生期の卵黄腸管が完全に退縮せず、回腸末端の腸間膜対側に突出してMeckel憩室が形成される。粘膜には胃や膵組織の異所性組織を伴うことがあり、これが症状の原因となる。
主症状・身体所見
小児では無痛性の下部消化管出血が最も多い。成人では腸閉塞、炎症、穿孔などによる腹痛や腹膜刺激症状を呈することがある。無症状で偶発的に発見される場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| Tc-99mシンチグラフィ | 異所性胃粘膜への集積 | 感度・特異度が高い |
| 腹部CT/超音波 | 憩室様構造、炎症や閉塞の所見 | 合併症評価に有用 |
| 内視鏡 | 出血源の同定が困難なことが多い | 直接観察は困難 |
診断は主にTc-99mシンチグラフィで異所性胃粘膜を検出することで行う。CTや超音波は合併症(炎症、閉塞、穿孔など)の評価に用いる。内視鏡では憩室自体を観察できないことが多い。
治療
- 第一選択:外科的切除(憩室切除または腸切除)
- 補助療法:出血や炎症時の支持療法、抗菌薬
- 注意点:無症状例は経過観察も選択肢となる
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性虫垂炎 | 右下腹部痛・圧痛、発熱 | 虫垂の腫大・炎症像 |
| 結腸憩室症 | 高齢者、左下腹部痛が多い | 結腸に多発する憩室 |
| 十二指腸憩室 | 上腹部痛・胆道症状 | 十二指腸レベルでの憩室像 |
補足事項
Meckel憩室は2歳以下の小児に多く症状が現れるが、成人でも合併症による発症例がある。異所性組織による出血は特に小児で重要な臨床所見となる。予防的切除の適応は議論がある。