前十字靱帯損傷
概要
前十字靱帯損傷は膝関節内の主要な靱帯である前十字靱帯が部分的または完全に断裂する外傷性疾患である。スポーツ活動中の急激な方向転換やジャンプ着地時などに多く発生する。主に若年のスポーツ選手に多くみられ、膝の不安定性や機能障害を生じやすい。
要点
- 膝関節の外傷で頻度が高い靱帯損傷
- スポーツ中の非接触型損傷が多い
- 治療は保存療法と手術療法がある
病態・原因
膝関節の強い回旋や外反ストレス、ジャンプ着地、急停止・急加速などにより前十字靱帯が過度に伸張され断裂する。非接触型のスポーツ外傷が主な原因であり、女性や靱帯弛緩性の高い人でリスクが高い。
主症状・身体所見
膝の激痛、腫脹、可動域制限、膝崩れ感(giving way)が主症状である。急性期は関節血腫を伴うことが多く、慢性期では膝の不安定性が目立つ。Lachmanテストや前方引き出しテストで陽性所見を示す。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| MRI | 前十字靱帯の断裂像 | 靱帯損傷の確定診断に有用 |
| X線 | 骨折の有無・Segond骨折 | 関連骨損傷の評価 |
| 関節穿刺 | 血性関節液 | 関節内出血の確認 |
MRIで靱帯の連続性消失や高信号域を認めることが診断の決め手となる。X線では骨折合併の有無を確認する。理学所見と画像所見を総合して診断する。
治療
- 第一選択:保存療法(装具・リハビリテーション)、または靱帯再建術
- 補助療法:筋力強化訓練、可動域訓練、疼痛管理
- 注意点:早期復帰には再断裂リスクがあるため段階的復帰が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 膝半月板損傷 | ロッキング・クリック音 | MRIで半月板損傷像 |
| 内側側副靱帯損傷 | 内側疼痛・内反ストレステスト陽性 | MRIで内側靱帯損傷像 |
補足事項
スポーツ復帰の時期や再建術後のリハビリテーションプロトコールは個別に調整が必要。前十字靱帯損傷の既往は将来的な変形性膝関節症のリスク因子となる。