先天性真珠腫

概要

先天性真珠腫は、鼓室内に上皮成分が迷入し嚢状に増殖することで生じる、出生時から存在する真珠腫である。慢性中耳炎や感染の既往がなく、鼓膜の正常な外観を保つのが特徴である。多くは小児期に発見され、進行すると周囲組織への浸潤を来す。

要点

  • 真珠腫性中耳炎とは異なり、感染や穿孔の既往がない
  • 鼓室内に白色腫瘤として認められる
  • 進行すると難聴や顔面神経麻痺を来すことがある

病態・原因

胎生期に中耳腔内へ外胚葉性上皮が迷入し、嚢状に増殖することで発生する。慢性中耳炎や鼓膜穿孔の既往がないことが診断のポイントとなる。発生部位は鼓室前上壁や鼓室内が多い。

主症状・身体所見

症状は初期には無症状で、難聴や耳閉感で発見されることが多い。進行例では耳漏、顔面神経麻痺、めまいなどを呈する。耳鏡所見では鼓膜は正常だが、鼓室内に白色腫瘤が透見される。

検査・診断

検査所見補足
耳鏡検査鼓室内白色腫瘤、鼓膜は正常小児の一側性伝音難聴で疑う
CT/MRI鼓室内の嚢胞性腫瘤、骨破壊骨破壊範囲や進展度を評価
聴力検査伝音難聴進行例では混合性難聴もあり

画像検査で骨破壊や腫瘤の範囲を確認し、鼓膜の正常所見と感染既往の欠如が診断の根拠となる。生検は通常行わない。

治療

  • 第一選択:手術的摘出(鼓室形成術)
  • 補助療法:術後リハビリテーション、聴力補助
  • 注意点:再発に注意し長期経過観察が必要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
真珠腫性中耳炎慢性中耳炎や鼓膜穿孔の既往あり鼓膜穿孔・耳漏を伴う
上皮真珠腫鼓膜外側表面の限局性病変外耳道・鼓膜表面に腫瘤

補足事項

早期発見・治療が予後改善に重要であり、小児の一側性伝音難聴や鼓室内白色腫瘤では必ず鑑別に挙げる。術後の再発や残存腫瘤に注意し、定期的な画像フォローが推奨される。

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