ヨードホルム中毒

概要

ヨードホルム中毒は、ヨードホルム(消毒薬などに使用される化合物)の過剰曝露や誤用により生じる中毒症候群。主に神経系・消化器症状を呈し、重篤な場合は全身症状や臓器障害に至る。医原性や自殺企図による経口摂取が多い。

要点

  • 神経症状(せん妄、昏睡)や消化器症状が主となる
  • 摂取経路や量により重症度が大きく異なる
  • 早期の除去と支持療法が治療の基本

病態・原因

ヨードホルムは消毒薬や歯科治療などで使用されるが、過剰摂取や誤用により体内に吸収されると中枢神経抑制や代謝障害を引き起こす。経口摂取、創傷からの吸収、吸入などが原因となる。

主症状・身体所見

悪心・嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状のほか、意識障害、せん妄、昏睡、けいれんなどの神経症状がみられる。重症例では肝障害、腎障害、循環不全を伴うこともある。

検査・診断

検査所見補足
血液生化学検査肝・腎機能障害、代謝性アシドーシス肝酵素上昇、BUN/クレアチニン上昇等
血中ヨウ素濃度上昇特異的な診断補助となる
尿検査蛋白尿、血尿腎障害の有無を評価

血中ヨウ素濃度の上昇や、既往歴・曝露歴の聴取が診断の決め手となる。消化器症状や神経症状の組み合わせ、特徴的な薬剤臭も参考となる。

治療

  • 第一選択:原因物質の除去(胃洗浄、活性炭投与など)
  • 補助療法:輸液、電解質・酸塩基平衡の補正、対症療法
  • 注意点:呼吸・循環管理、重症例では血液浄化療法も考慮

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
アスピリン中毒呼吸性アルカローシスの頻度高い血中サリチル酸値上昇
急性アルコール中毒アルコール臭、酩酊・昏睡血中アルコール濃度上昇
トルエン中毒有機溶剤臭、腎障害が主体尿中ヒッポ尿酸上昇

補足事項

ヨードホルム中毒は稀だが、医療現場での誤用や特殊な自殺企図で発生しうる。曝露経路や既往歴の詳細な聴取が重要となる。近年は消毒薬の使用減少により発生頻度は低下している。

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