モラクセラ・カタラーリス感染症

概要

モラクセラ・カタラーリス感染症は、グラム陰性球菌であるMoraxella catarrhalisによる感染症。主に上気道炎や中耳炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)増悪の原因となる。免疫不全者や高齢者、小児で重症化しやすい。

要点

  • 呼吸器感染症の原因菌として重要
  • β-ラクタマーゼ産生による抗菌薬耐性が問題
  • 小児・高齢者・基礎疾患患者で重症化しやすい

病態・原因

Moraxella catarrhalisは上気道の常在菌であるが、免疫低下時やウイルス感染後などに病原性を発揮し、気道粘膜に付着・増殖する。β-ラクタマーゼ産生によりペニシリン系薬剤に耐性を示すことが多い。

主症状・身体所見

急性中耳炎、急性副鼻腔炎、急性気管支炎、市中肺炎、COPD増悪などが主な症状である。発熱、咳嗽、膿性痰、耳痛、鼻閉などがみられ、重症例では呼吸困難や全身症状も出現する。

検査・診断

検査所見補足
喀痰・耳漏・鼻汁培養Moraxella catarrhalisの検出グラム陰性球菌、オキシダーゼ陽性
血液検査白血球増多、CRP上昇感染の活動性評価
画像検査(胸部X線・副鼻腔CT)浸潤影、副鼻腔陰影肺炎・副鼻腔炎の評価

診断は臨床症状と培養検査による菌の同定が基本。β-ラクタマーゼ産生の有無も治療選択に重要。画像検査は重症例や合併症の評価に用いる。

治療

  • 第一選択:β-ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン、セフェム系、マクロライド系
  • 補助療法:対症療法(解熱鎮痛薬、去痰薬)、基礎疾患管理
  • 注意点:抗菌薬耐性菌の増加、重症例や免疫不全者では入院加療を考慮

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
肺炎球菌性肺炎急性発症、高熱、錆色痰グラム陽性双球菌、莢膜陽性
インフルエンザ菌肺炎小児・高齢者に多い、しばしば重症化グラム陰性桿菌、培養でインフルエンザ菌検出

補足事項

Moraxella catarrhalisは近年、抗菌薬耐性化が進んでおり、治療薬選択時は地域の耐性状況も考慮する必要がある。ワクチンは現時点で実用化されていない。

関連疾患