ビタミンB1欠乏症

概要

ビタミンB1欠乏症は、チアミン(ビタミンB1)の摂取不足や吸収障害により発症する代謝性疾患である。エネルギー代謝障害を介して多彩な神経症状や心血管症状を呈する。重症例ではウェルニッケ脳症や脚気などの重篤な合併症を引き起こす。

要点

  • 主に神経・心血管系に影響を及ぼす
  • 慢性的なアルコール多飲や低栄養が主なリスク
  • 早期治療で予後良好だが、重篤例では永続的障害も

病態・原因

ビタミンB1は糖質代謝に不可欠な補酵素であり、欠乏するとエネルギー産生障害を来す。原因は慢性アルコール多飲、消化管疾患、偏食、悪性腫瘍、長期の点滴栄養など多岐にわたる。

主症状・身体所見

初期には易疲労感、食欲不振、体重減少がみられ、進行すると末梢神経障害(しびれ、筋力低下)、心不全、浮腫、意識障害(ウェルニッケ脳症)などの重篤な症状を呈する。

検査・診断

検査所見補足
血清・尿中ビタミンB1濃度低値欠乏の直接的証拠
赤血球トランスケトラーゼ活性低下補酵素活性の指標
MRI(頭部)視床下部・乳頭体周囲の高信号ウェルニッケ脳症疑いで有用

ビタミンB1欠乏の診断は臨床症状と血清・尿中濃度低下で行う。ウェルニッケ脳症では頭部MRIで特徴的な所見がみられる。

治療

  • 第一選択:ビタミンB1の静脈内または経口投与
  • 補助療法:栄養管理、原因疾患の治療、リハビリテーション
  • 注意点:アルコール依存症患者では他のビタミン欠乏も併発しやすい

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
ペラグラ皮膚炎・下痢・認知障害ナイアシン低値
ビタミンB12欠乏症巨赤芽球性貧血・深部感覚障害ビタミンB12低値

補足事項

早期発見・治療により予後は良好だが、神経症状が進行した場合は不可逆的となることがある。アルコール依存症や消化管手術後患者では特に注意が必要。

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