ゴナドトロピン単独欠落症
概要
ゴナドトロピン単独欠落症は、下垂体から分泌されるゴナドトロピン(LHおよびFSH)のみが選択的に欠如する下垂体機能障害である。性腺刺激ホルモンの分泌低下により、性腺機能低下症や性成熟障害をきたす。先天性と後天性があり、原因や症状は多様である。
要点
- 下垂体由来のゴナドトロピン(LH・FSH)分泌が選択的に低下
- 性腺機能低下症や思春期遅発・不妊症の原因となる
- 他の下垂体ホルモン分泌は基本的に保たれる
病態・原因
下垂体前葉におけるゴナドトロピン産生細胞のみが先天的または後天的に障害されることで発症する。先天性の場合は遺伝子異常や器質的異常、後天性では腫瘍や外傷、炎症などが原因となることがある。
主症状・身体所見
男性では精巣萎縮、女性では無月経や乳房発育不全がみられる。いずれも第二次性徴の発現障害や性成熟遅延、不妊症が主な症状となる。性腺以外の下垂体機能は保たれるため、他のホルモン異常症状は基本的にみられない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中LH・FSH測定 | 著明な低値 | 他の下垂体ホルモンは正常 |
| 性ホルモン測定(テストステロン/エストラジオール) | 低値 | 性腺機能低下症の評価 |
| GnRH負荷試験 | LH・FSHの反応低下 | 下垂体レベルの障害を示唆 |
ゴナドトロピン以外の下垂体ホルモン(GH、ACTH、TSH、PRL)は正常であることが診断のポイントとなる。画像検査(MRI)で下垂体の器質的異常や腫瘍の有無を確認する。
治療
- 第一選択:性腺ホルモン補充療法(テストステロン製剤、エストロゲン・プロゲステロン製剤)
- 補助療法:ゴナドトロピン製剤による排卵誘発や精子形成促進
- 注意点:原因疾患(腫瘍・炎症など)があればその治療も行う
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 汎下垂体機能低下症 | 他の下垂体ホルモンも低下 | ACTH, TSH, GH, PRLも低値 |
| Kallmann症候群 | 嗅覚障害を合併 | MRIで嗅球低形成、GnRH分泌障害 |
補足事項
思春期遅発や不妊症で発見されることが多く、性腺以外の下垂体機能評価が重要となる。原因検索のため画像検査や遺伝子検査を追加することがある。