Kallmann症候群
概要
Kallmann症候群は、嗅覚障害とゴナドトロピン分泌低下による性腺機能低下症を特徴とする先天性疾患。主に遺伝的要因によりGnRHニューロンの発生・移動障害をきたす。思春期遅発や無月経、無精子症などで発見されることが多い。
要点
- 嗅覚障害と性腺機能低下症の合併が特徴
- GnRHニューロンの発生・移動障害が病態の本質
- 遺伝形式は多様で、早期治療がQOLに重要
病態・原因
Kallmann症候群はGnRHニューロンの胎生期移動障害により、視床下部―下垂体―性腺軸の機能低下を生じる。KAL1やFGFR1などの遺伝子変異が原因で、X連鎖性や常染色体優性・劣性遺伝など多様な遺伝形式を示す。
主症状・身体所見
嗅覚低下または消失(無嗅覚症)、思春期遅発、無月経、無精子症、二次性徴の発達不全が主症状。その他、合指症や腎奇形などの合併奇形を伴う場合がある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中性腺刺激ホルモン(LH, FSH) | 低値 | ゴナドトロピン分泌低下性性腺機能低下症 |
| 嗅覚検査 | 嗅覚低下または消失 | 嗅覚障害の評価 |
| MRI頭部 | 嗅球・嗅索の欠損 | 画像的特徴 |
ホルモン検査で低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を認め、MRIで嗅球・嗅索の欠損を確認することで診断される。遺伝子検査も診断補助となる。
治療
- 第一選択:性ホルモン補充療法(テストステロン、エストロゲン+プロゲステロン)
- 補助療法:GnRHパルス療法やゴナドトロピン注射による妊孕性獲得
- 注意点:早期治療による二次性徴発達と骨量維持、心理的サポート
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 汎下垂体機能低下症 | 他の下垂体ホルモンも低下 | 甲状腺・副腎皮質ホルモンも低下 |
| Fröhlich症候群 | 肥満・視床下部腫瘍の合併 | 視床下部腫瘍の画像所見 |
| Turner症候群 | 染色体異常・特徴的体型 | 45,X核型・卵巣発育不全 |
補足事項
早期診断と治療介入が身体的・精神的発達に重要であり、遺伝カウンセリングも推奨される。嗅覚障害の有無で鑑別が可能なことが多い。