コカイン型依存
概要
コカイン型依存は中枢神経刺激薬であるコカインの使用により生じる精神・身体的依存症である。急速な耐性形成と強い精神的渇望が特徴で、乱用による社会的・身体的障害が顕著となる。精神症状や心血管系障害など多彩な有害事象を引き起こす。
要点
- 強い精神的依存と耐性が急速に形成される
- 心血管系障害や精神症状など多彩な合併症を生じる
- 社会的・法的な問題を伴いやすい
病態・原因
コカインはドパミン再取り込み阻害作用を持ち、報酬系を強力に刺激することで依存性を発揮する。反復使用により耐性が生じ、精神的渇望が強くなる。遺伝的素因やストレス、環境要因もリスク因子となる。
主症状・身体所見
多幸感、活動性亢進、自己評価の過大、焦燥、不安、幻覚、妄想などの精神症状がみられる。身体所見としては頻脈、高血圧、発汗、瞳孔散大、心筋梗塞やけいれん発作なども発生する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿中コカイン代謝物 | コカイン使用の証明 | 乱用歴の客観的評価に有用 |
| 心電図 | 頻脈、不整脈、虚血性変化 | 心血管系合併症の評価 |
| 血液検査 | CK上昇、肝機能障害、電解質異常など | 横紋筋融解症や多臓器障害の評価 |
診断はDSM-5などの精神医学的診断基準に基づき、コカイン使用による問題行動や離脱症状、耐性の有無を評価する。尿検査での代謝物検出や心電図、血液検査での合併症評価も重要。
治療
- 第一選択:精神療法(認知行動療法、動機づけ面接など)
- 補助療法:自助グループ、家族療法、社会的支援
- 注意点:再発予防、心血管系合併症の管理、急性中毒時の対症療法
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| モルヒネ型依存 | 精神依存より身体依存が強い | 尿中モルヒネ検出 |
| アンフェタミン型依存 | 類似の精神刺激症状だが持続時間が長い | 尿中アンフェタミン検出 |
| アルコール依存症 | 抑制解除・鎮静症状が主体 | 血中アルコール濃度、肝機能障害 |
補足事項
コカイン依存に対する特異的な薬物治療は確立していないが、再発予防のための精神社会的介入が治療の中心となる。急性期には心血管障害やけいれんなどの合併症管理が重要となる。