MERRF
概要
MERRF(Myoclonic Epilepsy with Ragged Red Fibers)は、ミトコンドリアDNA変異による進行性の神経筋疾患である。主にミオクローヌスてんかん、筋力低下、協調運動障害、特徴的な筋生検所見(ragged red fibers)を呈する。母系遺伝が多く、全身の多臓器障害を合併しうる。
要点
- ミトコンドリアDNA異常による神経筋症候群
- ミオクローヌスてんかんや運動失調が主徴
- 筋生検でragged red fibersを認める
病態・原因
MERRFは主にミトコンドリアDNAのtRNA(Lys)遺伝子変異(A8344G変異)が原因で、ミトコンドリア機能障害によるエネルギー産生低下をきたす。母系遺伝形式をとり、異質性(heteroplasmy)が臨床症状の多様性を生む。
主症状・身体所見
ミオクローヌスてんかん、筋力低下、運動失調、感音難聴などが主体。その他、痴呆、末梢神経障害、心筋障害、糖尿病など多臓器障害がみられることもある。筋萎縮や腱反射低下を伴うことが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 筋生検 | ragged red fibers | ゴモリ・トリクローム染色で筋線維周囲の赤色変性 |
| 血液乳酸・ピルビン酸 | 上昇 | ミトコンドリア障害により産生増加 |
| 遺伝子検査 | mtDNA変異(A8344Gなど) | 確定診断に有用 |
診断は臨床症状、筋生検所見、血液生化学異常、遺伝子解析を組み合わせて行う。脳波でてんかん性異常波、MRIで脳萎縮や白質病変がみられることもある。
治療
- 第一選択:対症療法(抗てんかん薬、リハビリテーション)
- 補助療法:コエンザイムQ10、L-カルニチン補充、理学療法
- 注意点:ミトコンドリア毒性薬剤(バルプロ酸等)は避ける
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| MELAS | 脳卒中様発作・糖尿病が目立つ | mtDNA 3243変異、乳酸増加 |
| Duchenne型筋ジストロフィー | 幼児期発症、仮性肥大 | DMD遺伝子異常、CK高値 |
補足事項
臨床症状の多彩さと進行性に注意が必要で、家族歴の聴取も診断の手がかりとなる。ミトコンドリア病全体のアップデートや新規治療法の開発動向にも留意する。