Huntington病
概要
Huntington病は常染色体優性遺伝形式をとる神経変性疾患であり、中年以降に発症する舞踏運動と精神症状、認知機能障害を特徴とする。ハンチントン遺伝子(HTT)のCAGリピート異常伸長が原因で、進行性に症状が悪化する。
要点
- 常染色体優性遺伝による神経変性疾患
- 不随意運動(舞踏運動)と認知・精神症状が進行
- 診断は遺伝子検査が決め手となる
病態・原因
Huntington病は第4染色体上のHTT遺伝子におけるCAGリピート異常伸長が原因で、ハンチンチン蛋白の異常蓄積による神経細胞死をきたす。線条体(尾状核・被殻)を中心とした大脳基底核の神経変性が主病態である。
主症状・身体所見
初期は手足や顔面の不随意運動(舞踏運動)が出現し、進行とともに筋緊張低下や運動失調が加わる。精神症状(うつ、易怒性、幻覚など)や認知機能障害(記憶障害、遂行機能障害)が目立つようになる。末期には嚥下障害や寝たきりとなる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部MRI | 尾状核・被殻の萎縮 | 脳室拡大も特徴的 |
| 遺伝子検査 | HTT遺伝子CAGリピート異常伸長 | 家族歴がなくても検査適応あり |
| 神経心理検査 | 認知機能障害、精神症状の評価 | 病期評価や鑑別診断に有用 |
MRIで尾状核・被殻の萎縮および側脳室拡大が特徴的。確定診断にはHTT遺伝子のCAGリピート数増加(36回以上)が確認されることが必須。
治療
- 第一選択:対症療法(ドパミン遮断薬、抗精神病薬など)
- 補助療法:リハビリテーション、心理社会的サポート
- 注意点:根本治療はなく、進行抑制療法は研究段階
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Parkinson病 | 振戦・筋固縮優位、舞踏運動なし | ドパミン反応性、線条体変化少ない |
| 多系統萎縮症 | 小脳失調や自律神経障害が主体 | 小脳・脳幹萎縮が目立つ |
| 有棘赤血球舞踏病 | 舞踏運動+貧血・有棘赤血球 | 血液像異常、遺伝子異常なし |
補足事項
発症年齢が早いほど進行が速い傾向があり、CAGリピート数と相関する。遺伝カウンセリングが重要であり、家族歴の有無にかかわらず遺伝子検査の適応がある。