HELLP症候群

概要

HELLP症候群は妊娠後期から分娩直後に発症する重篤な妊娠合併症で、溶血(Hemolysis)、肝酵素上昇(Elevated Liver enzymes)、血小板減少(Low Platelets)を特徴とする。妊娠高血圧症候群の一亜型であり、母体・胎児ともに高いリスクを伴う。

要点

  • 妊娠高血圧症候群に合併しやすい
  • 溶血・肝酵素上昇・血小板減少が三徴
  • 早期診断と分娩による治療が重要

病態・原因

原因は明確ではないが、妊娠高血圧症候群(特に子癇前症)に続発し、血管内皮障害や血液凝固異常が関与する。微小血栓形成による肝臓障害や溶血が進行し、多臓器障害へ波及することがある。

主症状・身体所見

上腹部痛や悪心・嘔吐が多く、全身倦怠感、頭痛もみられる。血圧上昇や蛋白尿は必発ではないが、出血傾向や黄疸、肝腫大、浮腫なども認めることがある。

検査・診断

検査所見補足
血液検査溶血(LDH↑、間接ビリルビン↑)、血小板減少LDH>600 IU/L、血小板<100,000/μLなど
肝機能検査AST・ALT上昇AST>70 IU/Lが診断基準の目安
尿検査蛋白尿の有無必須所見ではないが合併例あり

HELLP症候群の診断は、Mississippi分類などの基準を参考に、溶血・肝酵素上昇・血小板減少の三徴を満たすことが必要。腹部エコーで肝被膜下血腫や出血の評価も重要。

治療

  • 第一選択:妊娠の終了(分娩の誘発または帝王切開)
  • 補助療法:輸血、血小板製剤投与、肝保護、抗高血圧薬、けいれん予防(マグネシウム)
  • 注意点:DICや多臓器不全の合併に注意し、集中管理が必要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
妊娠高血圧症候群血圧上昇・蛋白尿が主体溶血や肝酵素上昇は必須でない
急性脂肪肝低血糖・肝不全症状が目立つ血小板減少・溶血は軽度
溶血性尿毒症症候群腎障害・血圧上昇は必発でない妊娠との関連は希

補足事項

HELLP症候群は母体死亡や胎児死亡のリスクが高く、早期診断・治療介入が予後改善に直結する。分娩後も症状進行例があるため、経過観察と全身管理が重要となる。

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