Friedreich運動失調症

概要

Friedreich運動失調症は、常染色体劣性遺伝形式をとる進行性の脊髄小脳変性症である。主に小児期から青年期に発症し、運動失調や感覚障害、心筋障害など多彩な症状を呈する。フラタキシン遺伝子の異常によるミトコンドリア機能障害が病態の中心である。

要点

  • 常染色体劣性遺伝による進行性運動失調症
  • 感覚障害や心筋障害、糖尿病など多臓器障害を伴う
  • フラタキシン遺伝子異常によるミトコンドリア障害が原因

病態・原因

Friedreich運動失調症はFXN遺伝子のGAAリピート異常伸長により、ミトコンドリアタンパク質であるフラタキシンの発現が低下する。これによりミトコンドリア機能障害、鉄代謝異常、酸化ストレス亢進が生じ、神経組織や心筋など多臓器の障害が進行する。

主症状・身体所見

歩行障害や四肢の運動失調、深部感覚障害、腱反射消失が初期からみられる。進行に伴い構音障害、筋力低下、脊柱側彎、心筋症、糖尿病なども認める。足の変形(ハイアーチ・槌趾)も特徴的である。

検査・診断

検査所見補足
神経学的検査運動失調、深部感覚障害、腱反射消失Romberg徴候陽性、バビンスキー徴候陽性
遺伝子検査FXN遺伝子GAAリピート伸長診断の決め手
心エコー心筋肥大、心筋症心機能評価に有用
MRI(脊髄・小脳)脊髄後索・側索の萎縮小脳萎縮は軽度

遺伝子検査によるFXN遺伝子異常の確認が確定診断となる。神経伝導速度検査では感覚神経伝導速度の低下がみられる。MRIで脊髄後索・側索の萎縮が特徴的である。

治療

  • 対症療法:リハビリテーション、装具による歩行補助
  • 心筋症・糖尿病などの合併症管理
  • ビタミンEや抗酸化剤の投与(効果は限定的)

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
脊髄小脳変性症常染色体優性遺伝が多い、眼球運動障害MRIで小脳萎縮主体
Charcot-Marie-Tooth病運動失調より末梢神経障害が主体末梢神経伝導速度低下が著明

補足事項

根本的治療法は未確立であり、疾患修飾薬の開発が進められている。早期からのリハビリと合併症管理が生活の質維持に重要である。

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