FSH型筋ジストロフィー

概要

FSH型筋ジストロフィー(Facioscapulohumeral muscular dystrophy)は、顔面・肩甲帯・上腕の筋力低下を主徴とする遺伝性筋疾患である。常染色体優性遺伝を示し、進行は比較的緩徐である。発症年齢や重症度には個人差が大きい。

要点

  • 顔面・肩甲帯・上腕の筋萎縮・筋力低下が特徴
  • 常染色体優性遺伝で家族歴を有することが多い
  • 心筋・呼吸筋障害はまれで生命予後は比較的良好

病態・原因

FSHDは4番染色体長腕のD4Z4リピート配列の異常短縮によって発症し、異常な遺伝子発現(DUX4遺伝子)が筋細胞障害を引き起こす。遺伝形式は常染色体優性であり、家族内発症が多い。

主症状・身体所見

顔面筋の無表情、閉眼困難、口笛不能が初発症状となりやすい。肩甲骨の翼状化や上腕・体幹筋の筋萎縮・筋力低下が進行性に出現する。下肢筋や腹筋も障害されるが、心筋・呼吸筋障害は軽度である。

検査・診断

検査所見補足
血清CK値正常〜軽度上昇他の筋ジストロフィーに比べ上昇は軽度
筋電図筋原性変化小振幅・短持続の電位
遺伝子検査D4Z4リピート短縮確定診断に必須

臨床症状と筋電図・遺伝子検査結果を組み合わせて診断する。筋生検では筋線維の変性・再生像がみられるが、診断には遺伝子解析が決定的である。画像診断(MRI)は筋萎縮・脂肪化の分布評価に有用。

治療

  • 第一選択:対症療法(リハビリテーション、装具使用)
  • 補助療法:理学療法、作業療法、生活指導
  • 注意点:過度な筋力トレーニングは避ける、呼吸障害や合併症の早期発見

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
Duchenne型筋ジストロフィー男児発症、進行が急速、下肢優位血清CK著明高値、ジストロフィン遺伝子異常
LG型筋ジストロフィー骨盤帯筋優位の筋力低下サルコグリカン等の遺伝子異常、CK高値

補足事項

FSHDの重症度や進行速度は個人差が大きく、軽症例では日常生活に大きな支障をきたさない場合もある。遺伝カウンセリングが重要であり、近年分子標的治療の研究も進んでいる。

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