Asperger症候群

概要

Asperger症候群は、知的発達や言語発達の遅れを伴わずに主に社会的コミュニケーションの障害や限定的・反復的な興味や行動を示す発達障害の一型。現在は自閉スペクトラム症(ASD)の一部とされる。小児期から特徴が現れ、生涯にわたり症状が持続する。

要点

  • 社会的相互作用の困難さが中心症状
  • 言語発達や知的発達の遅れは基本的に認めない
  • 限定的興味や反復行動が目立つ

病態・原因

脳の発達過程における神経ネットワークの異常が背景にあると考えられている。遺伝的素因が強く、環境要因との複合的な関与も指摘される。男女比は男性に多い。

主症状・身体所見

対人関係の築き方が独特で、非言語的なコミュニケーション(視線・表情・身振りなど)が苦手。興味や活動が限定され、同じ行動を繰り返す傾向がある。運動の不器用さや感覚過敏を伴うこともある。

検査・診断

検査所見補足
発達・行動評価社会性・コミュニケーションの質的障害、限定的興味DSM-5やICD-10等の診断基準を用いる
知能検査知的発達は正常範囲言語性IQと動作性IQの差がみられることも

診断は主に問診・観察・発達歴の詳細な聴取による。DSM-5では自閉スペクトラム症(ASD)に統合され、知的遅れや言語遅滞の有無で下位分類されない。画像診断や生物学的マーカーは確立していない。

治療

  • 第一選択:環境調整・心理社会的支援(ソーシャルスキルトレーニング等)
  • 補助療法:認知行動療法、家族支援、必要に応じて薬物療法(併存症状対策)
  • 注意点:早期発見・介入が予後に重要、本人の特性理解と周囲の支援が不可欠

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
自閉症言語発達遅滞や知的障害を伴いやすい知的発達・言語発達の遅れあり
注意欠陥多動性障害社会性障害より多動・衝動・不注意が主ADHDの診断基準に合致する

補足事項

2013年のDSM-5から「Asperger症候群」の診断名は消失し、ASDの中で表現される。成人期まで診断されずに社会適応の困難として現れる場合も多い。

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