黄熱
概要
黄熱は黄熱ウイルスによる急性ウイルス性感染症で、蚊(主にネッタイシマカ)を媒介として流行する。重症例では出血傾向と黄疸を伴う肝障害が特徴で、高い致死率を示す。アフリカや中南米の熱帯・亜熱帯地域で流行がみられる。
要点
- 黄熱ウイルスが蚊を介してヒトへ感染
- 肝障害と出血傾向、黄疸を呈する重症例
- ワクチンによる予防が最も重要
病態・原因
黄熱ウイルス(フラビウイルス科)が蚊により媒介され、ヒトに感染する。ウイルスは肝臓を中心に多臓器で増殖し、肝細胞壊死・出血傾向・腎障害などを引き起こす。森林型と都市型の流行があり、特に都市型は大規模流行を起こしやすい。
主症状・身体所見
発熱、頭痛、筋肉痛、悪心・嘔吐などの急性症状で発症し、重症化すると黄疸、出血傾向(歯肉・鼻出血、消化管出血)、腎不全、ショックがみられる。回復期と致死的経過(中毒期)に分かれ、致死率は高い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | AST/ALT上昇、ビリルビン上昇、白血球減少、血小板減少 | 肝障害・出血傾向の指標 |
| ウイルス遺伝子検出 | RT-PCR陽性 | 急性期診断に有用 |
| 血清抗体検査 | IgM抗体陽性 | 発症後数日以降に有用 |
流行地への渡航歴や蚊に刺された既往が診断の手がかりとなる。肝腫大や黄疸の身体所見、臨床経過も重要。PCRや抗体検査で確定診断される。
治療
- 第一選択:対症療法(輸液、肝・腎機能管理、出血傾向への対応)
- 補助療法:二次感染予防、安静、栄養管理
- 注意点:特異的治療薬はなく、ワクチンによる予防が最重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| A型肝炎 | 急性肝炎だが出血傾向は弱い | 黄熱では出血・腎障害が強い |
| デング熱 | 高熱・筋肉痛・出血傾向類似 | 肝障害・黄疸は黄熱が顕著 |
補足事項
黄熱ワクチンは有効であり、流行地渡航者には国際的に接種が推奨・義務付けられている。発症後の致死率が高いため、早期の診断と支持療法が重要。日本国内では未発生だが、輸入感染症としての警戒が必要。