頸肩腕障害
概要
頸肩腕障害は、頸部・肩・腕に痛みやしびれ、こり感などを呈する慢性の障害で、主にデスクワークや反復動作などの職業性要因が関与する。明確な器質的疾患が認められない場合が多く、頸肩腕症候群とも呼ばれる。作業環境や心理社会的要素も発症・増悪に影響する。
要点
- 頸部・肩・腕の慢性的な痛みやしびれが主症状
- 職業性要因や心理社会的因子が発症に関与
- 器質的疾患の除外が診断の基本
病態・原因
長時間の不良姿勢や反復作業、パソコン作業などによる筋・筋膜への慢性的な負荷が発症の主因とされる。ストレスや職場環境、作業量など心理社会的因子も発症・持続に関与しやすい。頸椎や神経、筋、腱などの微細損傷や循環障害が関与することもある。
主症状・身体所見
首から肩、腕にかけての疼痛・しびれ・こり感・脱力感がみられる。局所の圧痛や筋緊張亢進、運動制限を伴うことが多い。神経学的異常所見や明確な器質的異常を認めない場合が多いが、症状が広範囲に及ぶことも特徴。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| X線・MRI検査 | 明らかな器質的異常なし | 頸椎症や椎間板ヘルニアの除外 |
| 神経伝導検査 | 正常または軽度異常 | 末梢神経障害の除外 |
| 血液・炎症反応 | 特異的異常なし | 他疾患の鑑別目的 |
診断は主に問診と身体所見による。器質的疾患(頸椎症、椎間板ヘルニア、末梢神経障害など)を除外したうえで、職業歴や作業環境、心理社会的要因を評価する。画像検査・神経伝導検査は鑑別診断のために行う。
治療
- 第一選択:作業環境の調整、姿勢指導、理学療法
- 補助療法:鎮痛薬、筋弛緩薬、ストレッチ・温熱療法、心理的サポート
- 注意点:長期化や再発予防のため、職場復帰支援や生活指導が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 頸椎椎間板ヘルニア | 神経根症状(放散痛・筋力低下)明瞭 | MRIで椎間板突出を確認 |
| 末梢神経障害 | 神経支配領域に一致した感覚・運動障害 | 神経伝導検査で異常 |
| 線維筋痛症 | 全身の広範な疼痛・圧痛点多数 | 血液検査・画像で異常なし |
補足事項
VDT作業(パソコン作業)や単調な反復動作が増加する現代社会で患者数が増加傾向にある。作業環境の改善や予防教育が重要である。精神的ストレスの評価・介入も症状軽減に有効とされる。