de Quervain病
概要
de Quervain病は手関節の橈骨茎状突起部に発症する狭窄性腱鞘炎であり、主に母指の伸筋腱(短母指伸筋腱・長母指外転筋腱)が障害される。手首の親指側の痛みと腫脹が特徴で、繰り返し動作や育児などにより発症しやすい。
要点
- 母指側手関節の疼痛・腫脹が主症状
- フィンケルシュタインテスト陽性が診断の鍵
- 保存療法が基本だが難治例では腱鞘切開術も考慮
病態・原因
母指の頻繁な使用や繰り返しの手首の動作によって、長母指外転筋腱および短母指伸筋腱の腱鞘が肥厚・狭窄し、腱の滑走障害と炎症を生じる。女性や育児・家事従事者、スポーツ選手に多い。
主症状・身体所見
手関節橈側(親指側)の疼痛・腫脹が特徴で、母指の運動や手首の回外・回内で痛みが増強する。フィンケルシュタインテストで強い疼痛が誘発されることが診断の手がかりとなる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 身体診察 | 橈骨茎状突起部の圧痛・腫脹 | フィンケルシュタインテスト陽性 |
| 超音波検査 | 腱鞘肥厚・腱周囲液貯留 | 炎症や滑膜肥厚の評価に有用 |
| X線検査 | 骨変化なし | 他疾患の除外目的で実施 |
診断は臨床所見が中心で、フィンケルシュタインテスト陽性が特に重要。画像検査は鑑別や重症度評価、他疾患の除外に用いる。
治療
- 第一選択:安静・装具固定・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与
- 補助療法:局所ステロイド注射、理学療法
- 注意点:難治例や再発例では腱鞘切開術を検討、過度な局所注射は腱断裂リスク
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 手根管症候群 | 手根管部のしびれ・夜間痛 | ティネル徴候・ファレンテスト陽性 |
| 頸肩腕障害 | 頸部~上肢の放散痛 | 頸椎MRIで神経根異常を確認 |
補足事項
de Quervain病は産後や更年期女性に多く、ホルモン変動や腱鞘の浮腫も発症に関与する。早期の保存療法開始が予後改善に重要である。