鉄芽球性貧血
概要
鉄芽球性貧血は、骨髄でのヘモグロビン合成障害により、鉄が十分に存在しているにもかかわらず赤血球造血が障害される疾患。環状鉄芽球の増加が特徴で、先天性と後天性(特に薬剤性や骨髄異形成症候群に伴うもの)がある。
要点
- 骨髄におけるヘモグロビン合成障害が本態
- 環状鉄芽球の出現が診断の鍵
- 二次性(薬剤・毒物・骨髄異形成症候群)が多い
病態・原因
鉄芽球性貧血は、赤芽球内のミトコンドリアで鉄の利用障害が生じ、ヘモグロビン合成が障害されることで発症する。原因は先天性遺伝子異常や、薬剤(イソニアジド、クロラムフェニコールなど)、アルコール、鉛中毒、骨髄異形成症候群など多岐にわたる。
主症状・身体所見
貧血症状(易疲労感、動悸、息切れ、顔面蒼白)が主体で、重症例では黄疸や肝脾腫を伴うこともある。二次性の場合は基礎疾患や薬剤歴の聴取が重要となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 末梢血液像 | 小球性~正球性貧血、低色素性 | 赤血球数・Hb低下、MCV正常~低値 |
| 骨髄穿刺 | 環状鉄芽球の増加 | 鉄染色(Berlin blue染色)で診断 |
| 血清鉄・フェリチン | 正常~高値 | 鉄利用障害のため鉄は貯蔵される |
骨髄塗抹標本で環状鉄芽球(リング状に鉄が沈着した赤芽球)が診断の決め手となる。血清鉄やフェリチンはむしろ正常~高値を示す。基礎疾患や原因薬剤の検索も重要。
治療
- 原因除去:薬剤中止や基礎疾患治療
- 葉酸・ビタミンB6投与:一部先天性例や薬剤性で有効
- 輸血:重症例や無効例で適応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 鉄欠乏性貧血 | 血清鉄・フェリチン低値、環状鉄芽球なし | 骨髄鉄染色で鉄減少 |
| 巨赤芽球性貧血 | 大球性、好中球核の過分葉 | ビタミンB12・葉酸低値 |
補足事項
鉄芽球性貧血は骨髄異形成症候群(MDS)の一型としても重要であり、MDS合併例では予後不良となる。薬剤歴や中毒歴の詳細な聴取が診断・治療の鍵となる。