膜性増殖性腎炎
概要
膜性増殖性腎炎(MPGN)は、糸球体の基底膜とメサンギウム領域に特徴的な変化を伴う糸球体腎炎の一型。免疫複合体や補体の関与による慢性経過が多く、腎機能障害と蛋白尿・血尿を呈する。一次性と続発性があり、続発性は感染症や膠原病などが原因となる。
要点
- 糸球体基底膜とメサンギウムの増殖・肥厚が特徴
- 血尿・蛋白尿・ネフローゼ症候群を来しやすい
- 続発性は感染症や自己免疫疾患に関連する
病態・原因
膜性増殖性腎炎は、糸球体基底膜の二重化やメサンギウム細胞の増殖が特徴で、免疫複合体沈着や補体活性化が関与する。一次性(特発性)と、B型肝炎・C型肝炎などの慢性感染症、全身性エリテマトーデスなどの膠原病に続発する場合がある。
主症状・身体所見
血尿や蛋白尿が主な症状で、ネフローゼ症候群を呈することも多い。高血圧や浮腫、腎機能低下もみられる。進行例では慢性腎不全に至ることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 蛋白尿、血尿 | 尿沈渣で赤血球円柱や顆粒円柱を認めることも多い |
| 血液検査 | 補体価低下、腎機能障害 | C3低下やBUN・Cr上昇 |
| 腎生検 | 糸球体基底膜の二重化、メサンギウム増殖 | 電顕・蛍光抗体法で免疫複合体沈着を確認 |
腎生検が診断の決め手で、光学顕微鏡で糸球体の分葉化や基底膜の二重化、メサンギウム細胞の増殖を認める。免疫染色でIgG、C3沈着、電子顕微鏡で沈着物を確認する。血清補体価(特にC3)の低下も特徴的。
治療
- 第一選択:ステロイド療法、免疫抑制薬
- 補助療法:降圧薬、利尿薬、RAS阻害薬による蛋白尿・高血圧管理
- 注意点:腎機能の経時的評価、感染症や続発性原因の精査・治療
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性糸球体腎炎 | 急性発症・咽頭炎後・浮腫・高血圧 | 補体価一過性低下、腎生検で基底膜二重化なし |
| IgA腎症 | 上気道感染後の血尿反復 | IgA沈着が主、補体価正常 |
| 巣状糸球体硬化症 | 蛋白尿中心・巣状の硬化病変 | 腎生検で巣状分布、基底膜二重化なし |
補足事項
MPGNは分類が変遷しており、近年は補体異常型(C3腎症)との鑑別も重要となっている。続発性の場合は基礎疾患の治療が予後改善に不可欠である。